NaverとKakaoは3月の定時株主総会で、取締役会の再編とAI事業の位置付け明確化に乗り出す。両社とも過去最高業績を更新した直後の総会となり、上程議案は今後の経営方針を占う材料になりそうだ。
NaverはCFOを取締役に起用して財務統制を強める。一方のKakaoは取締役会を6人に絞り、意思決定の迅速化を図る。
◆Naver、CFOを約10年ぶり取締役に M&A拡大に備え財務統制強化
業界関係者によると、Naverの今回の株主総会で中核となる議案は、キム・ヒチョル最高財務責任者(CFO)の社内取締役選任だ。NaverでCFOが取締役に就くのは、2016年2月に退任したファン・インジュン前CFO以来、約10年ぶりとなる。
任期満了で退任するピョン・デギュその他非常務取締役の後任として選任するもので、取締役会は現行の7人体制を維持しつつ、社内取締役3人、社外取締役4人の構成に改める。
背景には、イ・ヘジン議長の復帰後に本格化した積極的なM&A戦略がある。昨年はWallapopの残余持分取得やDunamuの100%子会社化を進めた。今年もフィジカルAI、フィンテック、Web3分野で追加M&Aを予告している。
投資拡大局面でCFOを取締役会に迎えることで、資金配分やリスク管理を取締役会レベルで共有する狙いがあると受け止められている。
この過程では、Naver FinancialとDunamuの合併に伴う統合作業や、株主価値の希薄化懸念への対応など、財務面の課題も抱える。合併交換比率を1対2.54とする過程で、Naver Financialの企業価値が過大に算定されたとの指摘もあり、株主とのコミュニケーションや株主価値の維持がキムCFOの当面の課題となる。
Naverの取締役会は推薦理由について、グローバル投資戦略と財務健全性の両立が求められる局面で、合理的な意思決定を支える適任者だと説明した。
キムCFOはすでに国内外グループ会社11社でその他非常務取締役などを兼務し、グループ財務の中核を担っている。就任した2025年、Naverは連結売上高12兆350億ウォン、営業利益2兆2081億ウォンと過去最高を更新した。大型M&Aを進める中でも財務健全性を維持したと評価されている。
定款変更も注目点だ。取締役の忠実義務の対象について、従来の「会社」に加え「株主」を明記する。経営判断に当たり、株主利益を直接考慮すべき責任を取締役会として明文化する内容となる。
商法改正に伴い、集中投票制の排除条項も削除する。少数株主が希望する候補を取締役会に送り込める仕組みが、10年ぶりに復活する形だ。
取締役報酬の上限は80億ウォンから100億ウォンに引き上げる。CEOとCFOの株式報酬比率拡大に伴う支給額の変動幅拡大と、過去最高業績が増額の根拠として示された。
2025年の1株当たり配当金は2630ウォンで、前期の1130ウォンから2倍超に増えた。ガバナンス強化と増配を並行して進めることで、投資拡大局面における株主の信頼維持を図る考えとみられる。
◆Kakao、チョン・シナ代表の再任が焦点 取締役会縮小でAIを加速
Kakaoの株主総会では、チョン・シナ代表の再任が最大の焦点となる。チョン代表は2024年3月の就任後、132社あった子会社を94社まで約30%削減。2025年の連結営業利益を48%押し上げた。売上高は8兆991億ウォン、営業利益は7320億ウォンで、創業以来の最高業績を達成した。
Kakaoの取締役会は2月11日、チョン代表の再選任議案を可決し、株主総会に上程した。再任されれば任期は2028年の株主総会日まで2年延長される。
2期目のチョン代表は、経営の軸足を「刷新」から「成長」に移す。焦点はAIの収益化と投資成果の可視化だ。OpenAIやGoogleと相次いで提携したのに続き、2026年1〜3月期中に「カナナ in KakaoTalk」を投入し、AIエージェント機能の拡大を加速する方針を示している。
今回の株主総会では、定款に「人工知能の開発および利用業」などAI関連の事業目的3項目を追加する。KakaoがAIを中核事業として定款に明記する初の手続きとなる。
取締役会は8人から6人へ縮小する。チョ・ソギョン社内取締役と、チェ・セジョン、パク・セロムの両社外取締役が任期満了で退任し、新たにキム・ヨンジュン高麗大学技術経営専門大学院教授が加わる。キム教授はジョージ・ワシントン大学で経済学博士、ハーバード大学で財務修士を取得しており、技術経営と金融経済の両面に専門性を持つとされる。
社外取締役比率は62.5%から67%に上昇する。刷新局面を終え、成長戦略の実行段階に入る中で、取締役会の規模を縮小し、意思決定の効率を高める狙いがある。
株主還元策では、Kakao Mの合併過程で取得した自己株式142万723株(0.32%)を消却する。さらに資本準備金1000億ウォンを利益剰余金へ振り替え、非課税配当の財源として活用する。一般の個人株主は源泉徴収なしで配当金全額を受け取れる効果があるという。
1株当たり配当金は前期の68ウォンから10%増の75ウォンとした。
今回の株主総会は、両社が業績改善を土台に取締役会を組み替え、AI戦略を定款に盛り込み、株主還元策も打ち出す局面といえる。
NaverはM&A拡大に合わせてCFOを取締役会に迎え、Kakaoは構造改革に一区切りを付けたうえで取締役会を縮小し、実行速度を高める選択をした。構造改革はいったん総会を節目とするが、両社とも年内にAIサービスの収益化で成果を示せるかが次の課題となる。
業界関係者の一人は「両社は業績改善をてこに取締役会とガバナンスを見直し、AI事業の位置付けを明確にしている」としたうえで、「今回の株主総会は分岐点になるが、最終的な評価は年内のAIサービス収益化の成否で決まる」と話した。