米暗号資産投資会社のNYDIGは、AIがビットコインに及ぼすマクロ経済面の影響を分析した報告書を公表した。技術革新そのものよりも、AIが景気や金利に与える影響を通じて、ビットコインの相場が左右されるとの見方を示している。ブロックチェーン専門メディアのCoinPostが4日に報じた。
報告書では、AIが経済を壊すといった悲観論を退けた。技術革新はこれまでも経済構造を塗り替えてきたが、最終的には成長を押し上げてきたと指摘。蒸気機関や電気を例に挙げ、労働の代替を伴いながらも経済全体の拡大につながったと整理した。
著者のグレッグ・チポラロ氏は、「同様の局面は過去にもあった。蒸気機関は人や家畜の労働を機械動力に置き換え、産業の規模を拡大させた。電気はさらに進み、経済そのものを再構成した」と説明した。
その上で同氏は、AIは蒸気機関よりも電気に近い存在だと位置付ける。単なる業務効率化の道具ではなく、経済や組織の構造変化を促し、社会インフラの再編を伴う技術だとしている。
報告書は、ビットコインの行方を左右するのはAIそのものではなく金利政策だと分析した。AIが経済成長を押し上げる一方で利下げにつながるなら、ビットコインには追い風となる可能性が高い。反対に、金利上昇を招けば逆風になり得るとしている。
また、AIエージェントが決済システムを変える可能性にも触れた。Coinbaseの「Agentic Wallet」のように、AIが直接取引を実行する仕組みが広がれば、ビットコインの当初の構想だった「機械間決済」が現実味を帯びるという。ただ、消費者側の利用動機が乏しい現状では、既存の決済システムを短期間で置き換えるのは難しいとの見方も示した。
チポラロ氏は、「歴史を振り返れば、新技術に対する社会の反応は淘汰ではなく統合だった。AIへの反応もおそらく同じ道をたどる」と述べた。