写真=ジョー・バーネット氏

人工知能(AI)がもたらすデフレ圧力を背景に、ビットコイン価格が2036年1〜3月期に1100万ドル(約165億円)へ達する――。ビットコイン投資会社Striveでビットコイン戦略担当バイスプレジデントを務めるジョー・バーネット氏が、こうした強気シナリオを示した。Cointelegraphが3日(現地時間)に報じた。

バーネット氏は、AIによる生産性向上が財やサービス全般の価格押し下げ圧力を強め、企業の利益率を圧迫する可能性があると指摘する。こうした環境下では、政策当局が景気下支えのために緩和的な金融政策を長期にわたって維持し、結果として市場の流動性が拡大するとの見方だ。

もっとも、この試算は強い前提条件に基づく。バーネット氏は、2036年までに世界の資産総額が年率7%の複利で増加し、ビットコインが世界の金融資産の約12%を占めるシナリオを想定した。足元の比率が約0.2%であることを踏まえると、今後10年でビットコインの時価総額は176倍超に拡大し、230兆ドル(約3京4500兆円)に達する必要があるという。

価格上昇ペースも急だ。2036年1〜3月期に1100万ドルへ到達するには、年平均約53%の複合年間成長率(CAGR)が前提となる。バーネット氏は、ビットコインが2015〜2024年に平均約60%のCAGRを記録したことを根拠に挙げる一方、時価総額の拡大に伴って成長率が鈍化する可能性にも言及した。

同氏の主張の中核にあるのは、「AIデフレエンジン」と呼ぶ構図だ。AIによる自動化やコスト削減が持続的なデフレ圧力を生む場合、負債を基盤とする法定通貨システムでは信用市場が不安定化しやすいとみる。持続的なデフレ局面では、賃金や資産価格が下落しても、住宅ローンや企業融資、国債などの債務は名目額で固定されるため、信用市場にひずみが生じやすいという。その結果、中央銀行や財政当局がデフレの悪循環を避けるため、追加的な流動性供給に動く可能性が高まると分析している。

さらにバーネット氏は、Strategyのようなビットコイン保有企業が進める「デジタル信用」モデルにも注目する。ビットコイン保有を裏付けとする上場証券を通じて投資家にドル建て収益を提供し、調達資金でビットコインを追加購入する仕組みが広がれば、世界的な利回り需要とビットコイン蓄積の間に自己強化的な循環が生まれると説明した。

ただ、1100万ドルという水準は一般的な強気シナリオを大きく上回る。例えば資産運用会社ARK Investは、2030年のビットコイン価格について、強気ケースで150万ドル、弱気ケースで30万ドルとの見通しを示していた。市場では、バーネット氏が置く前提、すなわち金融資産に占めるビットコイン比率12%や世界の資産成長率7%が現実的かどうかに加え、AI起因のデフレ圧力が実際に金融緩和やビットコイン需要の拡大につながるかを見極める必要がある。

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