金融監督院は4日、2026年度のデジタル・IT分野の監督・検査方針として、ITリスク管理を事後対応中心から予防中心へ転換すると明らかにした。最優先課題に据えるのは消費者保護で、AIのリスク管理やビッグテック系電子金融業者、暗号資産市場の内部統制も重点的に点検する。
同院は同日午後2時、ソウル・汝矣島の本院で「2026年度デジタル・IT分野 金融監督業務説明会」を開いた。金融会社、電子金融業者、暗号資産事業者、業界団体の関係者ら約350人が参加した。
説明会では、デジタル金融を取り巻く環境変化を踏まえた今年の監督方針を共有するとともに、業種別の主要課題を議論した。
第1セッションでは、高麗大学情報保護大学院のカン・ヒョンウ教授が「金融業界におけるサイバーセキュリティ事故の事例と示唆」をテーマに講演した。続いて金融監督院が今年のデジタル・IT分野の監督・検査方針を説明し、質疑応答を行った。
第2セッションでは、金融会社、電子金融業者、暗号資産事業者などを対象に業種別ラウンドテーブルを実施し、監督・検査上の論点を議論するとともに、業界の意見を聴取した。
冒頭あいさつで、金融監督院デジタル・IT部門の副院長補を務めるイ・ジョンオ氏は、金融のデジタル化とAI革新の進展で利便性は高まっている一方、情報漏えいやシステム障害が相次いでおり、クラウドやソフトウェアのサプライチェーンを通じてITリスクが広がる懸念も強まっていると指摘した。
その上で、2026年度のデジタル・IT分野における最優先の価値として「消費者保護」を掲げ、利用者が安心して取引できるデジタル金融環境の整備を進める考えを示した。
同院は、これまで事後措置が中心だったITリスク監督の枠組みを予防中心へ切り替える。事故発生時の消費者被害を最小限に抑え、サービスを迅速に正常化できるよう、デジタルレジリエンスの強化にも力を入れる方針だ。
AI分野では、革新と責任の両立を重視する姿勢を示した。イ氏は、金融分野のAI活用を多角的に支援し、質の高い学習データをより円滑に確保・活用できるよう、データ結合・活用のプロセスを改善すると述べた。
一方で、「革新は責任との均衡が取れてこそ持続可能になる」として、金融会社に対し、AIのリスク管理や倫理意識の徹底、内部統制体制の整備を求めた。
電子金融業界については、業務運営の適正化と取引の安定性向上を進める。特に、ビッグテック系の大手電子金融業者を対象に、リスク管理と内部統制を綿密に点検する計画だ。
利用者1100万人規模の暗号資産市場を巡っては、内部統制とITシステムの改善を積極的に促し、市場の信頼回復を後押しする方針を示した。暗号資産に関する第2段階法案の円滑な準備と、調査システムの高度化による市場監視能力の強化も並行して進める。
ラウンドテーブルでは、最近のIT事故につながったIT基本統制の違反事例や「10大金融ITリスク」を共有し、過料・課徴金制度の改善点や現場の課題を議論した。電子金融業界の懇談会では、健全な事業環境の整備と消費者保護の強化策を取り上げ、暗号資産分野の懇談会では、第2段階立法の進捗状況や自主規制体制の強化、不公正取引の防止策などを話し合った。
金融監督院は、説明会で示された業界の意見や提案を今後の監督・検査業務に積極的に反映するとした。今後も金融会社、電子金融業者、暗号資産事業者、専門家との対話をさまざまなチャネルで続ける方針だ。