Teslaは、Cybertruck AWDの価格を5万9990ドル(約899万円)から6万9990ドル(約1049万円)へ1万ドル(約150万円)引き上げた。2月19日の発売から10日で約17%の値上げとなり、あわせてリース提供も終了した。
米EVメディアのElectrekが3月1日(現地時間)に報じた。Cybertruck AWDは、現行Cybertruckのエントリーグレードとして投入されたモデル。デュアルモーターの四輪駆動、航続距離約325マイル(約523km)、アダプティブダンピングサスペンション、電動トノカバーに加え、V2X(PowerShare)対応の荷台用電源コンセントなどを備え、価格競争力の高い仕様と受け止められていた。
発売直後には、イーロン・マスク氏がX(旧Twitter)で「今後10日間限定」と投稿し、期間限定価格であることを強調。Teslaの公式サイトでも、2月28日まで5万9990ドルを適用すると案内していた。納車時期の案内が前倒しで示されたことなどから、同社は需要の強さを示す材料とみていたとされる。
その後、期間終了に合わせて価格は6万9990ドルへ改定され、リースの選択肢もなくなった。Teslaは値上げの理由を明らかにしていないが、需要動向に応じて価格を見直す姿勢は従来から示している。
現在の6万9990ドルのAWDモデルは、同価格帯で過去に販売されていた後輪駆動(RWD)モデルより装備を大きく強化している。従来のRWDグレードは価格を抑えるため、エアサスペンションや電動トノカバー、荷台の電源機能などを省いていたが、商品力に乏しいとの見方が強く、発売から5カ月で販売終了となった。
これに対し、新しいAWDは四輪駆動、デュアルモーター、アダプティブダンピング、V2X機能などを標準装備しており、同価格帯では装備内容と性能のバランスに優れるとの評価もある。
もっとも、Teslaは2019年11月のCybertruck発表時、デュアルモーターAWDモデルを4万9900ドル(約749万円)、航続距離300マイル(約482km)で投入するとしていた。当時の最上位グレードだったトライモーターAWDは6万9900ドル(約1049万円)で、航続距離は500マイル(約804km)をうたっていた。
足元の6万9990ドルのAWDは、当初の発表価格に比べて約40%高い水準となる。物価上昇を反映しても、当時の4万9900ドルは現在価値で約6万3000ドル(約945万円)程度と推計されており、それでもなお約7000ドル(約105万円)上回る計算だ。
現行の最上位グレード「Cyberbeast」は9万9990ドル(約1500万円)で販売されており、2019年時点の最上位モデルと比べると価格差はさらに広がっている。
今回の「10日間限定価格」については、購入を急がせる演出で需要を押し上げ、その後の値上げを正当化したのではないかとの批判も出ている。Teslaは納車日程の調整や受注増を根拠に需要は堅調だと説明しているが、価格政策に対する消費者の信頼を損ないかねないとの指摘もある。
Cybertruckは当初、年間25万台超の販売を目標としていたが、現在の販売は年2万台規模にとどまるとされる。新しいAWDの競争力を評価する声がある一方、今回の値上げが販売拡大にプラスに働くかはなお見通せない。TeslaがCybertruckの収益性とブランドへの信頼をどう両立させるかに注目が集まっている。