Intelのイメージ写真=Shutterstock

Intelの再建期待が急速に後退している。米政府の出資観測やSoftBank、Nvidiaによる投資・提携報道を材料に株価はこの5カ月で大きく上昇したが、第4四半期決算の発表を受けて急落した。AI向け需要の取り込みの遅れや、次世代製造技術の立ち上がりの鈍さが改めて意識されている。

ドナルド・トランプ大統領が米政府としてIntel株式の10%を購入すると表明したことに加え、SoftBankとNvidiaがIntelに投資するとの報道も追い風となり、低迷していたIntel株は反転した。株価は5カ月で120%超上昇した。

The Informationによると、Intel株はこれまで、世界最大の半導体ファウンドリーである台湾TSMCに比べて低い評価にとどまっていたが、足元では将来EBITDA倍率で約20倍まで上昇した。TSMCの12.5倍を大きく上回る水準だ。

もっとも、2025年と2026年はいずれも売上高の減少が見込まれ、AI半導体市場でも目立った成果を示せていない。こうした業績見通しを踏まえると、株価には将来期待が大きく織り込まれていたといえる。

その期待は長続きしなかった。22日(現地時間)にIntelが第4四半期決算を発表すると、株価は17%下落し、時価総額は約460億ドル減少した。

投資家心理を冷やした要因の一つが、需要増への備えの甘さだ。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、Intelは旧世代の生産ラインの能力を数カ月にわたって縮小しており、その結果、AIデータセンター向けプロセッサの受注急増に十分対応できなかった。

Bernsteinの半導体アナリスト、ステーシー・ラスゴン氏は「株価は空気とツイートで急騰した」と指摘したうえで、「理論上はこうした需要を取り込む準備ができているべきだったが、実際にはそうではなかった。本当に残念だ」と述べた。

トランプ大統領の支持を取り付け、SoftBankから20億ドルの投資を呼び込み、Nvidiaとはカスタムチップ契約を結んだ段階では、Intelが反転の兆しを示すとの期待は小さくなかった。

投資家は、赤字要因となっているファウンドリー事業の改善や、テック業界を席巻するAIブームの恩恵をより大きく取り込めるかに注目して第4四半期決算を見守った。だが、決算発表後、期待はすぐに失望へと変わった。

第4四半期決算では、Intelの事業運営上の課題がなお深刻であることが改めて浮き彫りになった。WSJによると、同社は次世代チップ製造技術「14A」について、いまだ顧客を1社も獲得できていない。

社内では、経営陣が14Aの新規顧客獲得には時間がかかるとして、忍耐を求めているという。14AはAIコンピューティング分野で巻き返しを図る中核技術と位置付けられているが、本格量産は早くても2028年か2029年になる見通しだ。

こうした状況の背景には、顧客確保と設備投資のどちらを先行させるかというジレンマもある。Intelは、顧客を確保するまで新規設備への投資を先送りする慎重姿勢を取った。米国内の製造設備拡張に資金を投じるTSMCとは対照的だ。

AIデータセンター向けCPU需要が急増する局面で、Intelには大きな収益機会があったとみられるが、供給能力の不足で取り込み切れなかったとの指摘も出ている。

一方、WSJによると、昨年後半以降、OpenAIやAmazon Web Services(AWS)、Googleなどは、AIモデルの展開には当初想定以上に高性能なCPUが必要だと認識し始めた。

Intelが抱える問題は、2024年末に退任した前CEO、パット・ゲルシンガー氏の経営体制が残した負の遺産とも無関係ではない。ゲルシンガー体制下では、ファウンドリー事業向けのインフラ投資を積極的に進め、顧客を十分に確保できていない段階でも巨額資金を投じた。その一方で、AIチップ競争では出遅れていた。

こうしたなか、昨年Intelの指揮を執ったリップブ・タンCEOは、15%の人員削減に加え、欧州で計画していた数十億ドル規模の半導体工場計画を白紙化し、米オハイオ州の工場建設計画も延期した。WSJによると、旧世代技術への支出を抑え、最先端チップの生産能力拡大にも慎重姿勢を強めるなど、コスト削減を進めているという。

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