LG HelloVisionが運営するYouTubeチャンネル「HELLO LIFE」が、登録者100万人を突破し、YouTubeから「ゴールドボタン」を受けた。有料放送事業者系のYouTubeチャンネルとしては初という。テレビ向けコンテンツの再編集に加え、YouTubeオリジナル作品や地域密着型コンテンツを拡充し、視聴者基盤を広げた。
登録者数の伸びが本格化したのは2022年以降だ。2021年10月時点で約10万人だった登録者数は、2023年11月に50万人、2025年11月に100万人を超えた。LG HelloVisionは、YouTubeでの拡散を意識して編集方針や投稿運用を見直したことが奏功したとしている。
オンライン制作パート長のノ・ウルビッ氏は、成長の要因として「YouTube向けの編集手法と投稿設計」を挙げた。ノ氏は「当初はテレビ番組をYouTubeに載せる補完的な役割が中心で、1時間の本編をそのまま公開したり、投稿が不定期になったりすることも多かった」と振り返る。
その後は、動画の冒頭で見どころを前面に出し、内容がひと目で分かる字幕デザインを取り入れるなど、モバイル視聴を前提にした編集へと切り替えた。ノ氏は「YouTubeでは、スマートフォンで流し見する視聴者の関心を短時間でつかむ必要がある。主要な場面がすぐ伝わるように編集し、5秒以内に動画の内容が分かることを意識している」と説明した。
投稿戦略も見直した。単に本数を増やすだけではアルゴリズム上の効果が限定的だと判断し、決まった時間帯での定期投稿を重視した。ノ氏は「テレビの編成のように、投稿時間を一定に保ったことも効果があった」と話す。
高い再生数を記録したコンテンツでは、「地域の身近な物語」が目立つという。LG HelloVisionはこれを、ケーブルテレビ事業者としての強みと位置付ける。「チャン・ユンジョンの道場破り」「テグンののど自慢」「目を引く彼女たち」など、一般の出演者が中心となる番組が人気を集めた。「ホドン’s キャンピングゾーン選んでみて」「うちの街クラス」も、地域性と大衆性を背景にチャンネル成長を支えた。
同社はYouTube向けオリジナルコンテンツも強化している。新たなコンテンツ供給源を確保し、成長基調を維持する狙いで、「クァンイル病」「ジラッピラッ」など、テンポ感やエンタメ性を前面に出した作品を投入し、登録者の拡大につなげた。
オリジナルコンテンツは、間接広告などの協賛を通じて収益への貢献も見込めるという。LG HelloVisionは、一部の撮影業務の外注を除き、制作の大半を社内人材で賄っている。大規模な投資を伴わずに効果を高められる収益源として、オリジナル作品を重視している。
ノ氏は「オリジナルコンテンツを継続的に制作し、チャンネルのブランド力向上と収益化を並行して進めていく」と述べた。一方で、有料放送事業者がYouTubeで成果を上げることについては、本業との関係を慎重に見る向きもある。YouTubeの存在感が高まるほど、有料放送サービスの相対的な存在感が弱まる可能性があるためだ。
これに対し、「HELLO LIFE」を統括するコンテンツ事業室長のパク・ヒョヌ氏は、YouTube展開をワンソース・マルチユース(OSMU)戦略の一環と位置付ける。パク氏は「同じコンテンツでも、どのプラットフォームで反応が出るかは分からない。1つのコンテンツを複数のプラットフォームで展開する流れは自然なことだ」と語った。
OTT市場でもNetflixのほか、TvingやWavveなど複数のプラットフォームが併存している。作品によって反応の出方が異なるのと同様に、YouTubeもケーブルテレビのコンテンツを知らせる窓口であると同時に、新たなフォーマットを試す実験の場になり得るというのが同社の考えだ。
LG HelloVisionは2026年、「HELLO LIFE」を軸にYouTubeチャンネルのポートフォリオを多様化する方針だ。美容・医療分野を扱う「Make Me Glow」と、オリジナル中心の「Studio Holzzak」をさらに強化する。ノ氏は「各チャンネルのアイデンティティに合わせ、より緻密に企画したコンテンツを提供していく」と述べた。
「Make Me Glow」では海外視聴者の取り込みも狙う。Kビューティーへの関心が高いことから、海外からの視聴流入の余地は大きいとみている。ノ氏は、2026年は多言語字幕を標準化して投稿する計画だと明らかにした。
LG HelloVisionは2026年、「HELLO LIFE」で登録者120万人の達成を目指す。AI技術の活用も段階的に広げる方針で、すでにプロモーション素材の一部ではAIベースの画像を活用した実績がある。制作コストの削減にも有効と判断し、今後は適用範囲を広げる考えだ。
パク氏は「既存の地域チャンネルが持つ信頼性に、デジタル感覚のオリジナルコンテンツを組み合わせ、いつでもどこでも接点を持てる総合メディアプラットフォームへ進化していく」と強調した。