画像はイメージ(ChatGPTで生成)

ゲーム業界で自社株消却の動きが広がっている。表向きは株主還元や企業価値向上を掲げた施策だが、市場では、成長余地の縮小を背景に株価対策を優先した対応との見方も出ている。M&Aや研究開発を通じて規模拡大を図ってきた従来の成長モデルが通用しにくくなる中、将来投資に回すべき資金を株主還元に振り向けているとの指摘もある。

配当と並ぶ自社株消却、業績悪化下でも拡大

業界関係者によると、主要ゲーム企業の間では、業績にかかわらず自社株消却を打ち出す動きが相次いでいる。NCSOFTは昨年3月、赤字下でありながら1269億ウォン規模の自社株を消却し、市場の注目を集めた。

黒字企業でも事情は楽観できない。Com2uSは今月、保有する自社株の50%に当たる約64万株、581億ウォン相当を消却した。年間営業利益は30億ウォン前後とみられ、前年から50%超減少する見通しで、収益性の低下が鮮明になっている。Wemadeも今月初め、175億ウォン規模の自社株消却を実施した。

Mgameは先月、現金配当、自社株消却、従業員向け株式報酬を同時に発表した。3年連続の配当に加え、保有する自社株約34万株(発行済み株式の1.7%)を全量消却する方針を示している。配当規模は約43億ウォン。

こうした流れは昨年後半から一段と強まった。Wemade Playは昨年10月、発行済み株式の約8%に当たる169億ウォン規模の自社株を、配当可能利益の範囲内で全量消却した。Devsistersも同年11月に27億ウォン規模の自社株を消却している。

Devsistersは当時の開示で、「2024年の営業利益の10%を上限とする規模を原資に自社株を消却する」と説明した。利益の一定部分を株主還元に充てる姿勢を明確にした格好だ。

本来、企業は余剰資金を再投資に回し、中長期の企業価値向上を図るのが一般的だ。だが、赤字のNCSOFTに加え、中堅ゲーム企業でも配当と自社株消却を並行して進める動きが広がっており、市場では、成長投資に対する自信の弱まりを映すシグナルと受け止める向きもある。

懸念されるのは、成長投資へのしわ寄せだ。世界の競合各社が人工知能(AI)やコンソール市場の開拓に注力する中、必要な投資資金が株価対策に振り向けられているとの批判がある。業界関係者は「ゲーム利用率の低下や業績悪化で成長エンジンが見えにくい中、過去の成功パターンに依存する戦略には限界がある」とした上で、「成長株としての魅力が薄れ、短期的な株価対策への依存が強まっている」と指摘した。

商法改正案を意識した先回りの処分との見方も

自社株消却の加速については、国会で議論が進む商法改正案を意識した動きだとみる向きもある。政界では、自社株取得後1年以内の消却義務化を柱とする第3次商法改正案の法制化が進められている。

自社株はこれまで、経営権争いの局面で友好的な第三者に譲渡し、議決権を復活させるなど、経営陣にとって有力な防衛手段とされてきた。改正案が成立すれば、その選択肢は狭まる。将来的に経営権防衛に使いにくくなる自社株を、制度変更前に消却し、「株主重視企業」としての姿勢を打ち出そうとする思惑が働いたとの見方もある。

もっとも、株価への効果は限定的との指摘もある。大規模な消却を行ったWemade PlayとDevsistersは、その後も高値圏の株価を回復できておらず、Wemadeも下落基調が続く。NCSOFTの足元の株価反発についても、自社株消却より新作「Aion2」への期待が寄与したとの受け止めが多い。

別の業界関係者は「長期的な株価低迷が投資縮小や資本流出につながりかねないという危機感は、ゲーム企業の間で共有されている」と話す。その一方で、「事業体質の改善を伴わず、自社株消却だけに頼っても効果は限られる」との見方を示した。

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