Binanceのハッキングを受け、暗号資産取引が中央集権型取引所(CEX)から分散型取引所(DEX)へと移る流れが加速するとの見方が出ている。Standard Charteredは、こうした動きがUniswapに中長期で追い風になる可能性があると分析した。
Cointelegraphが30日(現地時間)に報じたところによると、Standard Charteredでデジタル資産リサーチのグローバル責任者を務めるジェフリー・ケンドリック氏は、今回のハッキングが長期的にUniswapに有利に働く可能性があるとの見解を示した。
同氏はCointelegraphに送った電子メールで、Binanceのハッキング後はDEXの取引シェアがCEXに対して一段と拡大するとの見通しを示した。「投資家はUniswapに改めて注目すべきだ」とした上で、「最大のCEXであるBinanceで今回の事故が起きたことで、DEXとCEXの取引比率は今後も上昇していく可能性が高い」と述べた。一方で、市場が今回の影響を織り込むまでにはなお時間を要するとの見方も示した。
実際、DEXの取引シェアは足元で拡大している。CoinGeckoによると、2026年4〜6月期における現物DEX上位10社の取引量は、CEX上位10社の23.5%に相当し、1〜3月期から2.1ポイント上昇した。
ケンドリック氏は、Uniswapの独自トークン「UNI」について、2030年の目標価格を100ドルに据え置いた。今回のBinanceハッキングについても、「この目標価格がむしろ保守的だった可能性を示す、もう一つの材料だ」と評価した。背景には、分散型金融(DeFi)に預け入れられた資産規模が2030年に2兆7000億ドルへ拡大し、Uniswapがトークン化資産の主要取引プラットフォームとして定着するとのStandard Charteredの従来見通しがある。
ただ、短期的な相場見通しには慎重姿勢を崩していない。ケンドリック氏は、Binanceハッキングの影響で当面は暗号資産価格が一段安となる可能性があるとみている。「資産凍結の解除が進み、ハッキングの詳細がさらに明らかにならない限り、新たな底入れを確認するのは難しいだろう」と述べた。
実際、Binanceのハッキング後は暗号資産市場の軟調地合いが続いた。Cointelegraphによると、当時BNBは24時間で8%超下落し、ビットコインは7万7000ドル近辺で推移した。DeFi関連トークンも売られ、Aave(AAVE)は11.3%安の118.54ドル、Uniswap(UNI)は10.4%安の6.48ドルを付けた。
今回の見立ては、セキュリティ事故の影響が短期的な価格下落にとどまらず、暗号資産取引市場の構造変化につながる可能性に着目したものだ。もっとも、DEXの取引シェア拡大やUniswapの中長期的な価値上昇が実現するかどうかは、今後の市場動向やBinanceの事態収束の行方に左右される。