企業のAI導入は進む一方、全社的な変革成果を挙げた企業は16%にとどまった。写真=Shutterstock

企業でAI導入が広がる一方、全社的な業務変革にまで結び付けられているケースは少ないことが分かった。AIモデルの性能向上が続く半面、企業現場での実装や活用はなお追いついていないという。

MIT Technology Reviewが10月28日付(現地時間)で報じたところによると、企業向けAIの活用実態を調べた結果、回答企業はすべてAIを導入していたものの、革新的な成果を挙げたと答えた企業は16%にとどまった。調査は同誌のインサイト部門がデータ管理企業Atlanと共同で実施し、北米、欧州、アジア太平洋など4地域の企業幹部250人を対象とした。

成果の内訳を見ると、40%は特定業務や一部部門で中程度の改善があったと回答した。21%は大きな成果があったと評価した一方、23%は投資対効果がほとんどない、あるいはまったくないと答えた。

AI活用の成熟度もまだ高くない。38%はAI導入を試験運用している段階にあり、35%はCopilotやチャットボットのように、従業員の業務を支援する用途で活用していた。

実運用環境でAIエージェントを導入している企業は12%にとどまった。AIが中核業務の大半を担っていると答えた企業は3%だった。

専門家は、企業がAIの潜在力を十分に引き出せない背景として、業務文脈をAIに適切に反映できていない点を挙げる。

Atlanの共同創業者、プルカルパ・サンカー氏は「AIモデルの性能と、企業内で実際に実用化されている水準の間には大きな隔たりがある」と指摘した。

その解決策として同氏が示したのが「Context Layer(文脈レイヤー)」だ。社内データと業務システムをAIプラットフォームにつなぎ、組織固有のルールや業務フローをAIが理解できるようにする仕組みだとしている。

例えば、同じ売上データでも、営業部門と財務部門で定義や見方が異なれば、AIの出力結果も変わり得る。企業の業務ルールやデータ定義が適切に共有されなければ、AIの判断精度は下がるという。

サンカー氏は「重要なのはAIを導入すること自体ではない。企業データを体系的に結び付け、実際の業務に即して活用できるかどうかが、今後の生産性や投資対効果を左右する」と強調した。

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