写真=ボーイング

米空軍は、空中給油時の誤操作や危険兆候をAIで自動検知する訓練評価システムの導入を検討している。教官の主観に頼りがちだった評価をデータ主導に切り替え、安全性と任務遂行能力の向上につなげる狙いだ。

TechRadarが10月30日付で報じたところによると、米空軍は給油機に搭載したカメラ映像をAIで解析し、空中給油中のミスを識別する技術の導入を検討している。任務終了後のレビューに使える客観的な評価資料を提供するという。

システムにはコンピュータビジョンと機械学習を用いる。給油機と受油機の動きを追跡し、機体間の距離や相対位置、接近速度などを測定。通常の給油手順から外れた挙動を検知する仕組みだ。

給油ブームの動きも分析対象に含める。AIがブームの移動経路と機体の軌道を照合し、給油中に発生し得る危険な動きや異常な機動を見つけ出す。

現在の空中給油訓練では、評価の多くを教官の観察、操縦士の自己評価、録画映像の目視確認に依存している。同じ機動でも評価者によって判断が分かれる可能性があるほか、一瞬のミスを見落とす恐れもあるとされる。

新システムは、分析結果をグラフィックや色分けした評価マップ、時系列のイベント記録として可視化する。操縦士と教官が問題の生じた機動を把握しやすくし、改善点の特定を支援する。

初期の開発対象は、ボーイングの空中給油機「KC-46ペガサス」だ。KC-46はカメラと3次元ディスプレイを使って給油ブームを遠隔操作するが、従来の映像システムを巡っては技術的な課題が継続的に指摘されてきた。今回のAI技術は給油装置を直接制御する自律運航システムではなく、訓練結果を分析する評価ツールと位置付けられている。

米空軍は、中小企業技術移転研究(STTR)を通じて11月25日まで開発提案を受け付ける。最終的には、少なくとも1種類の受油機に適用できる試作システムを確保し、既存の飛行訓練体系と連携させる計画だ。

将来的には、フライトシミュレーターや仮想現実(VR)、拡張現実(AR)を使った訓練への展開に加え、他の軍用機の操縦評価への応用も視野に入れている。

キーワード

#米空軍 #AI #空中給油 #コンピュータビジョン #機械学習 #ボーイング #KC-46
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.