ドナルド・トランプ米大統領(写真=ホワイトハウス)

ドナルド・トランプ米大統領は、外国製の産業用ロボットや産業機械の輸入を国家安全保障上の脅威と認定し、貿易相手国との輸入見直し協議に入るよう指示した。180日以内に新たな合意に至らなければ、関税や輸入枠、各種手数料などの追加措置を講じる可能性がある。

米ITメディアのArs Technicaが29日(現地時間)に報じた。ドナルド・トランプ氏は28日に公表した布告で、こうした方針を打ち出した。

対象となるのは、米製造業全般で使われる工場向けロボット、産業機械、関連部品だ。General Motors(GM)やFord、Teslaなどの自動車メーカーに加え、BoeingやLockheed Martinといった航空宇宙・防衛企業は海外メーカー製ロボット設備への依存度が高く、影響を受ける可能性がある。

布告では、産業用ロボットと産業機械を「米軍の兵器システム生産に不可欠」であり、「米経済の主要インフラ部門を支える原動力」と位置付けた。あわせて、ハワード・ラトニック商務長官が実施した調査結果も示し、これらの輸入品が米国の産業基盤にリスクをもたらし、国家安全保障上の重要性が高まる分野で米国の長期的な競争力を脅かしていると判断したとしている。

米商務省は、安全保障上の懸念に加え、安全面やサイバー面でのリスクも指摘した。外国製ロボットや機械は固有のリスクを抱え、深刻なサイバーセキュリティ上の脆弱性につながる可能性があるとの見方を示している。今回の措置は、単なる通商問題にとどまらず、サプライチェーンと安全保障の問題として扱う姿勢を鮮明にしたものだ。

トランプ政権は2026年7月、連邦通信委員会(FCC)を通じて外国製ロボットの新モデルの一部を禁止した。当時の対象はロボット掃除機、四足歩行ロボット、ヒューマノイドロボットで、自動車工場や物流倉庫で広く使われる産業用ロボットアームや固定型ロボットは対象外だった。今回の布告は、これまで例外とされてきた産業向けロボットまで検討範囲を広げた形だ。

米国と貿易相手国は、布告の発効日から180日以内に、ロボットや産業機械、部品の輸入を調整する新たな合意をまとめる必要がある。合意に至らなければ、大統領は関税や賦課金、輸入枠、手数料を追加できる。コスト増は外国製ロボットを輸入する米企業が負担する公算が大きく、米国内の製造現場の運営費を押し上げる可能性が高い。

こうした懸念の背景には、米製造業の調達構造がある。国際ロボット連盟(IFR)によると、米国の2025年の産業用ロボット新規導入は約3万8500台で、世界2位の市場となった。一方、大型の産業用ロボットアームでは国内の代替供給先が事実上乏しく、自動車・航空宇宙企業は日本、スイス、ドイツに本社を置くFANUC、ABB、Yaskawa、KUKAの4社製品を主に使用しているという。

Amazonも例外ではない。自社ロボットの開発・生産を大幅に増やしているものの、日本のFANUC製ロボットアームなど一部の外国製設備を引き続き使用している。米企業が内製能力を高めても、短期的に海外依存を断ち切るのは難しい実態が浮き彫りになっている。

トランプ氏も布告でこうした現状を認めた。米国のロボット企業は国家安全保障上の需要を満たすだけの産業用ロボットを十分に生産できておらず、米国はロボット、産業機械、関連部品の大半を輸入に依存していると明記した。輸入規制を強化する一方で、国内供給の空白を抱える構図が改めて示された格好だ。

今後の焦点は、実際に輸入禁止に踏み込むのか、それとも関税措置が中心となるのかに移る。布告は全面的な輸入遮断よりも、関税賦課の余地を優先的に残した内容となっている。一方で、名目上の禁止措置が導入されても、Intelの事例のように例外承認によって外国製ロボットの使用が認められる余地はある。180日間の協議の行方とあわせ、米製造業者に適用される免除や例外の範囲が主要な変数となりそうだ。

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