AIデータセンター向け電力需要を化石燃料発電で賄えば、米国の電力部門のCO2排出量が2030年までに大幅に増える可能性がある。写真はイメージ=Shutterstock

米国でAIデータセンターの新増設に対応するため化石燃料発電が拡大した場合、2030年の電力部門の二酸化炭素(CO2)排出量が2025年比で42%増加する可能性があることが分かった。電力需要の急増への対応が、過去15年にわたる排出削減の流れを逆転させかねないとの懸念が強まっている。

ITメディアのThe Vergeが29日に報じたところによると、米環境団体Sierra Clubは、計画中のAIデータセンターと関連発電設備が予定通り建設された場合、2030年の発電由来の年間CO2排出量は約21億トンに達すると分析した。

これは2025年より6億1800万トン多く、伸び率では42%に相当する。増加分だけでも、米国の約1億2900万世帯の年間電力使用に伴う排出量に匹敵する水準だ。もっとも、この数値は実際の排出量ではなく、事業計画と想定される電力供給手段を反映した推計値としている。

排出増の相当部分は、データセンターに電力を直接供給するための自家発電設備によるものとみられる。送電網への接続に時間を要するため、事業者が天然ガス火力発電所を別途整備するケースが増えているためだ。Sierra Clubは、こうした設備に伴う追加排出が4億6000万トンを超える可能性があると見込む。

これとは別に、6月に公表された学術研究では、データセンターと暗号資産マイニングの需要が拡大するシナリオで、2030年の電力部門の排出量は、需要増がない場合と比べて28%高くなる可能性があると推計した。ただ、試算の前提条件が異なるため、数値を単純に比較することはできない。

環境防衛基金(EDF)も最近、米国で計画されている新規の化石燃料発電設備が、2016年以降で最大水準に達したと明らかにした。一方、再生可能エネルギーの導入拡大は、許認可の遅れや政策変更の影響で停滞しているという。

専門家は、実際の排出増加幅はデータセンターの建設規模や電源構成、再生可能エネルギーの普及ペースによって大きく左右されると指摘する。AI産業の成長に伴う電力需要をどう満たしつつ、CO2排出を抑えるかが、米国のエネルギー政策の焦点になりつつある。

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