欧州の自動車産業を巡る仏独の規制見直し案について、かえって電気自動車(EV)の競争力を弱めるとの批判が出ている。中国勢がEVと電池で存在感を高める中、内燃機関車両への配慮が技術転換を遅らせる恐れがあるという。
CleanTechnicaが(現地時間)29日に報じたところによると、T&E(Transport & Environment)の事務総長、ウィリアム・トッツ氏は、中国訪問後に公表した見解の中で、フランスとドイツが合意した自動車産業再編の方向性を批判した。
仏独は、2035年時点の新車の二酸化炭素排出削減目標を2021年比90%で維持する一方、残る10%について別途オフセットを求める要件を外す案を提示した。あわせて、合成燃料やバイオ燃料のみを使う車両への例外措置や、欧州製部品の利用促進も盛り込んだ。
これに対しトッツ氏は、こうした「技術中立」路線がEV投資のインセンティブを弱めかねないと懸念を示した。特に、2028年からの適用を目指す欧州製部品の優遇措置について、要件となる電池の域内調達比率が10%にとどまる点を挙げ、欧州の電池産業育成には不十分だと指摘した。
同氏は対照例として中国を挙げた。中国では9月の乗用車販売に占める新エネルギー車の比率が67%に達し、内訳はバッテリー式EVとプラグインハイブリッド車だという。電動トラックの普及も進み、バッテリー交換ステーションの整備・運営も広がっているとした。
中国の電池産業の中核拠点である寧徳には、大規模な生産施設が集積している。世界最大の電池メーカーであるCATLも、生産基盤をドイツ、ハンガリー、スペインへと広げている。
トッツ氏は「中国は大気汚染の削減、石油依存の低減、産業育成を一貫した政策の下で進めてきた」と評価した。中国の電動化競争力は、長期にわたる政策支援の積み重ねによるものだと説明している。
もっとも、中国にも企業間の価格競争や収益性の悪化、高水準の負債といった課題がある。一方、フランスとドイツは、規制の柔軟化が既存雇用と製造業の競争力を守るうえで必要だとの立場を取る。関連施策はEU全体で確定した制度ではなく、なお協議段階にある。
トッツ氏は「欧州の自動車産業が将来の競争力を確保できるかどうかは、内燃機関の保護ではなく、電池、ソフトウェア、自動運転技術を押さえられるかにかかっている」と強調した。