マレーシア税関はこのほど、クアラルンプール国際空港で高性能AI半導体を搭載したサーバ30台を押収した。一般電子部品として虚偽申告し、米国の先端半導体輸出規制を迂回しようとした疑いがあるとして、当局が捜査に乗り出している。
日本メディアのGigazineが29日に報じたところによると、税関は15日、同空港の自由貿易区にある倉庫を調査し、4950万リンギット相当のAIサーバ30台を摘発した。
貨物はアジアの一国から発送され、別のアジアの国・地域へ再輸出される予定だったという。だが通関書類では、規制対象のAIサーバではなく一般の電子部品として申告されており、必要な貿易許可も取得していなかったという。
当局は輸送ルートや虚偽申告の経緯を踏まえ、組織的な輸出規制逃れの可能性を調べている。輸送を仲介したマレーシア企業には捜査協力を求めているが、半導体の製造元や発送元、最終目的地は公表していない。
今回の事案は、6月に発生した類似案件との関連も指摘されている。税関は当時、同じ空港でコンピュータ部品として申告されたAIサーバ72台を押収しており、金額は約5292万リンギットに上った。税関によると、同一組織の関与が疑われる事案は今年少なくとも5件あり、押収額は総額で1億リンギットを超えるという。
マレーシアは昨年7月から、米国製の高性能AI半導体について、輸出、積み替え、通過輸送のいずれにも戦略物資の貿易許可を義務付けている。米国の対中先端半導体輸出規制の迂回ルートとして悪用されるのを防ぐ狙いだ。
AI研究機関のEpoch AIは、貿易統計の不一致にも注目している。2024年4月から2025年6月までの間に、中国側が計上したマレーシア産サーバの輸入額は約37億5000万ドル(約5625億円)だったのに対し、マレーシア側の対中輸出額は約6億ドル(約900億円)にとどまったという。
Epoch AIは、この大きな差が大規模な迂回取引の可能性を示唆すると分析している。ただ、統計の差だけで実際の密輸規模や、今回の事案の最終目的地が中国だったと断定することはできないとしている。