分散型デリバティブプラットフォーム「Hyperliquid」の独自トークンHYPEが急伸した。イーロン・マスク氏の反応と、著名投資家Stanley Druckenmiller氏の投資報道が材料視され、米規制下のデリバティブ市場への参入期待も重なって、価格は過去最高値圏に接近した。
ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、HYPEは29日、一時95.49ドル(約1万4320円)まで上昇。24時間で20%高となり、過去最高値に迫った。
きっかけとなったのは、Druckenmiller氏によるX(旧Twitter)への初投稿と、それを受けたマスク氏の反応だ。マスク氏は当該投稿を引用し、「Interesting」とコメント。市場では、Hyperliquidを含む分散型デリバティブ基盤への関心を示したものとの受け止めが広がった。
Druckenmiller氏は投稿で、フィンテックスタートアップのTrade[xyz]に出資したと明らかにした。理由として挙げたのが、ニューヨーク証券取引所の親会社Intercontinental Exchange(ICE)との提携だ。
Trade[xyz]とICEは、米国で規制対象となる24時間取引のパーペチュアル先物の提供を計画している。パーペチュアル先物は満期日を設けないデリバティブ商品。Druckenmiller氏は自身を「active market participant」と表現し、この商品を実際の取引に活用しながら投資判断を磨く考えも示した。
こうした報道を受けてHYPEの商いも膨らんだ。1日当たりの取引高は7億9600万ドル(約1194億円)に拡大。Hyperliquidの時価総額は242億ドル(約3630億円)を超え、暗号資産の時価総額ランキングで9位に浮上した。完全希薄化後評価額(FDV)は907億ドル(約1兆3605億円)だった。
トークン配分の設計も投資家の関心を集めている。Hyperliquidは、従来型ベンチャーキャピタル(VC)の資金を入れない「ゼロVC」モデルを掲げ、総供給量の76%超をコミュニティに配分したとされる。VC主導の既存プロジェクトとは異なる設計が、期待を支える一因とみられている。
マスク氏の反応後には、Trade[xyz]創業者のシャドー氏が、XとxAIの連携可能性にも言及した。オンチェーンのデリバティブ基盤とxAIのアルゴリズムを組み合わせるべきだとマスク氏に提案し、資本市場では強力なAIの登場が避けられないとの見方を示した。リアルタイム取引は、AIの性能を検証する重要な尺度になり得るという。
さらにシャドー氏は、Hyperliquidのような透明性の高い分散型台帳が、超知能による適正価格の探索に向けて数学的に安全な環境を提供し得るとも主張した。AIとオンチェーン金融インフラの融合という構想まで示されたことで、今回の上昇は著名人の発言だけでなく、新たな金融市場への期待を映した動きとの見方も出ている。
もっとも、上昇基調の持続は今後の事業進展次第だ。ICEとTrade[xyz]の提携が、米国での規制下における24時間パーペチュアル先物の提供に結び付くかがまず焦点となる。あわせて、関連サービスがHyperliquidのエコシステムにどこまで利用者と資金を呼び込めるか、マスク氏の発言で高まった期待が実需につながるかが、HYPEの一段高を左右しそうだ。