GoogleとSamsung Electronicsが共同開発した立体音響技術「Eclipsa Audio」の対応領域が広がっている。YouTubeやスマートTVに加え、制作ツールや録音機器にも採用が進んでおり、特定企業の独自規格に依存しないオープンな音響技術として注目されている。
IT系メディア「GIGAZINE」が10月29日付で報じたところによると、Eclipsa Audioは、音の左右や前後だけでなく、高さや距離感まで表現できる立体音響技術だ。頭上を通過する飛行機の音や、会場を取り囲む観客の歓声などを、実際の空間にいるかのような臨場感で再現することを目指している。
基盤となるのは、GoogleやSamsung Electronicsなどが参加するオープンメディア連合(AOMedia)が2023年に公開したIAMF規格だ。IAMFは音声を直接圧縮するコーデックではなく、複数の音声データと空間情報を格納し、再生方法を定義するフォーマットとされる。OpusやAACなど、さまざまな音声圧縮方式と組み合わせて利用できる。
対応するのは、従来の5.1チャンネルサラウンドに高さ情報を加えた5.1.2チャンネルや7.1.4チャンネルなど。特定のスピーカー配置を前提とせず、周囲の音を立体的に記録するアンビソニックス(Ambisonics)にも対応する。複数音源を合成する機能も備え、セリフと効果音を分離したり、再生環境に応じて音を調整したりできる。
制作環境の整備も進んでいる。Googleは昨年6月、無料のオープンソース制作プラグインを公開した。対応する編集ソフト上で音の位置を調整し、立体音響を含む動画ファイルを作成できるようにした。YouTubeも昨年1月から、Eclipsa Audio音源を含む動画のアップロードをサポートしている。
再生時には、TVやサウンドバーのスピーカー構成に応じて音声を出力するほか、ヘッドフォンでは左右の耳に届く音の差を利用して立体感を再現する。Samsung Electronicsは2025年モデルのTVとサウンドバーに同技術を適用しており、オープンメディア連合は今年5月、共通再生規格となる「オープンオーディオレンダラー 1.0」を公開した。
対応は録音機器にも広がっている。Sonyは今月、Eclipsa Audio認証を取得したスマートフォン向けマイク「ECM-AX10」を披露した。全指向性マイク4基を搭載し、周囲の音を立体的に録音できる製品という。ただし、実際に視聴するには、同規格に対応した再生機器やソフトウェアが必要になる。