米Theranos創業者のエリザベス・ホームズ被告のパートナー、ビリー・エバンス氏が手がけるヘルステック企業Haemanthusに対し、「Theranos 2.0」との見方が浮上している。AIを活用したレーザー診断技術を掲げる一方で、性能を裏付ける公開データや事業化計画の具体性に乏しいとの指摘が出ている。
The Vergeが10月28日(現地時間)に報じたところによると、Haemanthusは血液や唾液、尿などの体液をレーザーで分析する診断機器を開発している。
エバンス氏は、最近公開されたドキュメンタリー「You Can See Everything」の中でHaemanthusの事業に言及し、かつてのTheranosを想起させる発言をしたとされる。一方、同社はホームズ被告が経営に関与していないとの立場を示している。
中核技術はラマン分光法だ。これは試料にレーザーを照射し、散乱した光の特性から分子構造や成分を分析する手法で、1928年に発見された。医療分野では、がんの早期診断や血糖測定への応用研究が進んでいる。
ただ、こうした技術的な可能性が、そのままHaemanthusの機器の精度や信頼性を裏付けるわけではない。応用研究が進んでいること自体は、同社製品の性能証明には直結しない。
同社は当初、ペット向けに血液や体液を検査する機器を開発し、将来的には人向けに切手大のウェアラブル機器の投入を目指す構想だという。
もっとも、開発スケジュールはなお不透明だ。エバンス氏は2023年、およそ1年以内に革新的な試作品を開発できるとの見通しを示していたが、現時点で製品性能を確認できる公開資料は限られているという。
HaemanthusのLinkedInページでは、従業員数は2〜10人とされ、数千種類のバイオマーカーを検出するAIセンサーを開発していると紹介している。ただ、具体的な検証結果や研究論文は公開されていない。
The Vergeは、医療機器の商用化には技術の完成度だけでなく、臨床上の正確性や安全性、規制要件への適合が欠かせないと指摘した。AIを活用する場合でも、こうした検証プロセスを省くことはできないとしている。
現時点で、HaemanthusがTheranosと同様の不正を行った証拠が確認されたわけではない。ただ、医療診断技術の革新をうたうだけでは不十分で、実際の性能や臨床的な正確性、安全性を、透明性をもって検証し、公表できるかが実用化に向けた最大の課題になりそうだ。