EUの多くの都市が、2030年に適用される強化後の大気質基準を満たしていないことが明らかになった。写真=Shutterstock

EUの都市のほぼ半数が、2030年に適用されるPM2.5の新基準を現時点で満たしていないことが分かった。達成には自動車排ガス対策だけでなく、農業や暖房など都市内外の発生源を含めた幅広い対策が必要だという。

Cleantechnicaが28日(現地時間)に伝えたところによると、国際環境法団体ClientEarthと世界資源研究所(WRI)は、EU域内の394都市を対象に大気質を分析した報告書を公表した。

2024年のデータに基づく分析では、394都市のうち181都市(46%)が、2030年から適用されるPM2.5基準を上回っていた。

EUは2024年12月、改正大気質指令を施行した。これにより、2030年からPM2.5の年平均基準は従来の25μg/m³から10μg/m³へ厳格化される。二酸化窒素(NO2)の年平均基準も40μg/m³から20μg/m³へ引き下げられる。

報告書は、都市単独の交通政策だけでは目標達成は難しいと指摘した。都市で観測されるPM2.5の平均約3分の2は、都市域外の発生源に由来するためだ。

具体的には、農業由来のアンモニアや港湾・空港からの汚染物質に加え、自動車のタイヤやブレーキの摩耗で発生する粉じんも含めた包括的な管理が必要だとした。

対策としては、車両通行制限区域の拡大、歩行者・自転車向けインフラの整備、公共交通の電動化などを挙げた。あわせて、地方政府だけでなく、中央政府やEU全体による法的・財政的支援も欠かせないとした。

事例としては、ポーランドのクラクフが石炭・薪を使う暖房設備約4万5600台を廃止し、PM2.5汚染を最大26%削減したと紹介した。EUと中央・地方政府が、規制と財政支援を組み合わせて進めた成果だと評価している。

ClientEarthの弁護士、エマ・バード氏は「新たな大気質基準は市民の健康を守る重要な機会だ」と述べた上で、「自動車依存を減らす都市交通システムへの転換が必要だ」と指摘した。

WRIで欧州都市システム戦略を担当するスティーブン・ブランド氏は、「熱波が大気汚染リスクを高めている」とした上で、「交通、農業、エネルギーなど主要排出部門の汚染を減らし、投資政策にも大気質改善の目標を反映させるべきだ」と強調した。

報告書は、2030年基準の達成には、政府間の連携強化、発生源対策、継続的な投資拡大が不可欠だと提言している。

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