南極周辺の海氷急減後、南氷洋の南極中間層水で塩分上昇が確認された。写真=Shutterstock

南極周辺の海氷が急減したことで、南氷洋の南極中間層水で塩分と密度が上昇していることが分かった。こうした変化は世界の海洋循環に影響し、長期的には気象や気候にも波及する可能性がある。

Ars Technicaが28日(現地時間)に報じたところによると、国際共同研究チームは、南極の海氷減少が海水の塩分と密度に及ぼす影響を分析した研究成果を、学術誌「Nature Climate Change」に発表した。

研究チームは2004〜2024年に得られた6種類の観測データを解析した。海中を移動しながら水温や塩分などを測定する海洋観測フロート「Argo」のデータも含まれる。

その結果、南氷洋の水深約700〜1200メートルに広がる南極中間層水で、2016年以降に塩分が明確に上昇していたことが確認された。海水の密度も高まり、水塊の分布はより深い層へ移った。

研究チームは、数十年にわたって続いてきた淡水化傾向が反転した結果だとみている。南極周辺では夏季に海氷が融解して海に淡水が供給されるが、2016年以降は海氷面積が急減し、その供給量も減少したという。

南極の海氷は2014年に、衛星観測開始以降で最大水準に達した。その後は急速に減少し、2023年の海氷面積は1981〜2010年平均を約260万平方キロメートル下回った。

影響は南極域にとどまらない。南極中間層水は大西洋、インド洋、太平洋へと広がりながら、熱や炭素、酸素、栄養塩を運ぶ役割を担っている。

この水塊の塩分や密度が変化すれば、海洋の表層と深層の熱交換にも影響する可能性がある。研究チームは、海洋内部での熱の蓄積のされ方が変わることで、深海の温暖化や海面上昇、大気循環の変化につながる恐れがあると指摘した。

嵐の発生パターンや進路が変わる可能性もある。ただ、具体的にどのような気象影響が、いつ現れるのかは現時点で確認されていない。

英国南極調査所の海洋学者マイケル・メレディス(Michael Meredith)は「南極の海氷減少は、すでに海水の特性と循環に影響を及ぼしている」と説明した。その上で、「こうした変化が恒久的な転換なのかどうかを判断するのは難しい」と付け加えた。

研究チームは、既存の気候モデルでは最近の南極海氷の減少を十分に反映できていないと指摘した。継続的な海洋観測と、気候予測モデルの改善が必要だと強調している。

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