Huaweiは、独自の半導体設計原理「タウ・スケーリング法則」に基づく時間圧縮の概念を、次世代無線基地局に適用した。最新のUBBPiベースバンド製品では、ネットワークの体感品質が平均1.3倍に向上し、消費電力を40%削減したとしている。香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)が28日、報じた。
今回の適用は、Huaweiがこの設計フレームワークを基地局製品群に初めて展開した事例となる。Huaweiは、UBBPiに時間圧縮の概念を取り入れることで、性能と電力効率の両面で改善効果が出ていると説明している。
タウ・スケーリング法則は、チップの物理的な微細化ではなく、時間圧縮とシステムレベルでの構造効率の向上に軸足を置く設計原理とされる。先端露光装置へのアクセスが制限される中国企業にとって、米国の輸出規制に対応する戦略的な打開策として注目されてきた。
Huaweiは5月、タウ・スケーリング法則とロジックフォールディング・アーキテクチャを初めて公開した。先端リソグラフィ装置を使わずに、2031年までに1.4ナノ相当のトランジスタ性能の実現を目指す方針も示していた。
同社はここ数カ月、この設計原理の適用範囲をスマートフォンやコンピューティングインフラにも広げている。9月には、ロジックフォールディング・アーキテクチャを初めて商用化した「Kirin 9050 Pro」を公開した。
Kirin 9050 Proは、三つ折りスマートフォン「Mate XT 2」に搭載された。Huaweiは、前世代比で総合性能が42%向上し、電力効率も改善したとしている。
今後はAIチップにも展開を広げる計画だ。Huaweiは主力AIチップ「Ascend 990」に対しても、2030年前後にロジックフォールディング・アーキテクチャを適用する方針を示している。
スマートフォン、AIチップ、基地局に同じ設計原理を横展開することで、先端半導体への制約下でも製品全体の性能向上を継続する狙いが鮮明になっている。
今回の基地局関連製品の公開は、中国の6G早期商用化に向けた動きとも重なる。中国工業・情報化部は9月、次世代通信網で世界主導権の確立を目指し、2030年までの工程表を盛り込んだ5カ年計画を公表した。
HuaweiはUBBPiブロードバンドシリーズとあわせて、「VitaAAU」も公開した。同社はこの製品を「世界初の商用Upper 6GHz装置」と位置付けている。
Upper 6GHz帯は、5G Advancedの高度化と将来の6G構築を支える周波数帯とされる。Huaweiによると、VitaAAUはアラブ首長国連邦などですでに商用配備されており、最大10Gbps超のダウンロード速度に対応するという。
Huaweiが新たな半導体設計原理の適用先を基地局にまで広げたことで、米国規制の下で先端プロセスへの依存を抑える戦略は、通信インフラ分野でも具体化し始めた。基地局、スマートフォン、AIチップに共通の技術軸を通す手法は、同社の半導体自立と次世代ネットワーク機器の競争力を占う上で重要な試金石となりそうだ。