米国の中小企業向け決済市場で、銀行の影響力が低下している。フィンテック企業が会計ソフトや業務ソフトに決済機能を組み込み、決済の起点を押さえつつあるためだ。
American Bankerが28日、現地時間で報じた。調査によると、米国の中小企業では、個人向け決済と企業間決済の両方で、従来の銀行サービスよりもフィンテックや非銀行系の決済プラットフォームの利用が広がっている。
調査は5〜6月、米国の中小企業501社を対象に実施した。対象企業は従業員数に応じて1〜9人、10〜99人、100〜999人の3区分に分けた。
回答企業の95%は、現在の決済手段におおむね満足していると答えた。一方で、課題としては高い手数料、システム導入手続きの複雑さ、決済失敗による売上機会の損失が挙がった。
個人向け決済では、PayPalとVenmoの利用率が88%で最も高かった。Apple PayやGoogle Payなどのモバイルウォレットは58%だった。
決済処理プラットフォームでは、Squareが49%で首位となり、Stripeは18%にとどまった。Shopify Paymentsは22%、後払い決済(BNPL)は19%だった。
企業間決済でもフィンテックの活用が目立った。従業員1〜9人の小規模事業者ではPayPalやVenmo、現金の利用が多い一方、企業規模が大きくなるほど、クレジットカードやバーチャルカード、請求管理ソフト、銀行振込などを使い分ける傾向がみられた。
暗号資産やステーブルコインによる決済は、企業規模を問わず導入は初期段階にとどまった。関連技術への理解不足が主な障壁とされた。
フィンテックの強みは決済スピードだけではない。会計ソフトやERP、POSに決済機能を一体化し、送金、精算、取引履歴の確認までを一元的に処理できる点が大きい。
銀行は預金基盤と既存の決済インフラを持つものの、実際の取引が発生するソフトウェア上の接点では後れを取っていると分析された。
American Bankerは、銀行がリアルタイムの送金・受取機能を拡充し、国際金融メッセージ標準のISO 20022を活用して、請求書や取引明細の情報を決済データと連携させる必要があると指摘した。
中小企業の資金そのものが銀行から離れたわけではない。ただ、決済の起点がフィンテック側へ移ることで、銀行の収益基盤や顧客との関係が弱まる可能性がある。