写真=Tesla。今回の評価では、FSDの出発時や突発状況への対応改善に注目が集まった。

Teslaの運転支援ソフト「FSD(Full Self-Driving)」の最新版「FSD V14」について、工事区間や歩行者、路上障害物などへの対応力が改善したとの実走行ベースの評価が出ている。一方で、目的地到着直前の挙動や駐車にはなお改善の余地があり、自動衝突回避機能が有料サブスクリプションにひも付いている点も論点として浮上している。

電気自動車専門メディアのCleanTechnicaによると、2026年型のModel Y(ベースグレード)を使用するユーザーが28日(現地時間)、FSD V14の走行体験を共有した。ユーザーは、出発から目的地到着までの一連の運転で、ドライバーの介入が必要な場面が大きく減ったと説明している。

特に変化が大きいとされたのは、いわゆる「エッジケース」への対応だ。通常とは異なる例外的な状況でも、以前より安定した挙動を示したという。工事で車線が狭くなった場面や、対向車線側への回り込みが必要な場面でも、走行経路を見つけて通過したとしている。

横断歩道では、歩行者が渡るそぶりを見せると停止したほか、道路脇のシカや車線上の障害物に対しても減速や回避を行ったという。

新たに注目された機能として、ユーザーは「自動衝突回避」を挙げた。走行中にドライバーがFSDを手動で有効にしていない場合でも、衝突の危険が差し迫るとシステムが自動で介入し、回避操作を行う仕組みだ。

ただ、ユーザーによれば、この機能を利用するには月額99ドルのFSDサブスクリプションへの加入が必要で、設定メニューから個別に有効化しなければならないという。

利便性の面でも改善が見られた。点滅するスクールゾーンの信号を認識して時速20マイルまで減速したほか、スピードバンプだけでなく、路面の落ち込みが大きい排水路付近でも速度を落としたとしている。

また、大型駐車場では車両呼び出し機能が安定して動作し、4車線の高速道路では追い越しに備えて事前に車線変更した後、追い越し後に右車線へ戻る挙動も確認できたという。明確な障害物がないのに急制動する「ファントムブレーキング」は、長期間経験していないとも付け加えた。

一方、すべての場面で十分な完成度に達したわけではない。課題として挙げられたのは、目的地到着直前の走行と駐車だ。

具体的には、ガレージへの自動進入や、大型店舗で出入口に近い駐車スペースを選ぶ機能、複雑な駐車場から安定して離脱する機能について、追加の改善が必要だとしている。

細かな挙動にも限界が残るという。停止標識の前で完全停止した後に約1.5秒待機するほか、信号のある交差点では、本来は直進すべき場面で誤って右左折レーンに入るケースも残っているとした。

安全機能の課金設定も議論を呼んでいる。ユーザーはFSDについて、「命を救う可能性のある安全機能」と評価する一方、月額料金を支払わないドライバーは自動衝突回避を利用できない点を批判した。

そのうえで、運転支援機能一式のサブスクリプションとは別に、衝突回避のような安全に直結する機能だけを提供する選択肢が必要だと主張した。

あわせて、ドライバーが毎回FSDを手動でオンにするのではなく、初期設定でFSDを利用できるようにし、必要に応じてオフにする方式への変更も提案した。高速道路ではドライバー介入の必要性が大幅に減ったとして、限定区間に限ってでも、より高い自動化レベルの承認を検討できるとの見方も示している。

もっとも、これはあくまで個人ユーザーによる評価と提案であり、FSDがドライバーの監督なしで走行できる自動運転システムとして承認されたことを意味するものではない。

FSDの採用比率も注目点として挙がった。今回の評価で示された数値によると、新車購入者におけるFSDの選択比率は2026年第3四半期時点で75%まで上昇したという。過去の約12%と比べると大幅な増加だが、算定基準や集計範囲については別途確認が必要としている。

今回の内容は、Teslaによる公式な性能検証ではなく、個人ユーザーの実走行経験に基づくものだ。特定の車両と走行環境で見られた改善を、そのまま全ユーザーの体験や安全性向上に一般化するのは難しい。

それでも、工事区間や歩行者、障害物といった例外的な状況への対応力は、FSDの実使用における競争力を測るうえで重要な指標として注目される。

今後の焦点は、突発的な状況への対応改善にとどまらず、駐車や目的地到着といった最終局面の完成度をどこまで高められるかにある。同時に、安全機能の提供方法と、ドライバーの監督責任をどう整理するかも問われそうだ。

なかでも、自動衝突回避を有料サブスクリプションに組み込む方針は、FSDの普及に向け、技術的な性能だけでなく、安全機能へのアクセスのあり方を巡る議論につながる可能性がある。

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