Rippleは、2026年の製品収益のランレート(年換算売上高)が9億ドル(約1350億円)に迫る見通しを示した。決済、カストディ、ステーブルコインといった事業領域の拡大に加え、買収先事業と既存サービスの統合が寄与したとしている。事業ライセンスの取得や顧客基盤の拡大も進めており、機関向けデジタル資産インフラ企業としての事業基盤を広げている。
29日付のCoinPostの報道によると、Rippleは2026年を「成功の年」と位置付け、製品収益ランレートが9億ドルに近づいたと明らかにした。
ランレートは一定期間の実績を年換算した推計値で、実際の通期売上高とは一致しない可能性がある。Rippleは、2025年に製品競争力の強化と戦略的買収に注力したのに続き、2026年は買収先事業と既存サービスの統合に軸足を移したと説明。こうした取り組みが収益拡大につながっているとした。
顧客基盤も拡大している。Rippleによると、BNYやRobinhoodを含む顧客・提携先で、決済、カストディ、ステーブルコイン、プライム・ブローカレッジ、財務管理ソリューションを利用する件数は、2026年に入り3倍に増えた。現在は85件超の事業ライセンスを保有し、1700を超える機関・企業にデジタル資産インフラを提供しているという。
規制対応や機関向け金融分野でも前進があった。Rippleは最近、BNYとの協業拡大を発表したほか、米国での信託銀行設立に向けた最終承認を取得したと明らかにした。これにより、ステーブルコイン「RLUSD」の準備金保管や、機関向け暗号資産カストディを連邦監督下で運営する体制を整えたとしている。
ブラッド・ガーリングハウスCEOは、伝統的な金融とデジタル金融の融合が進み、金融市場インフラが現代的なシステムへ移行しつつあると強調した。決済の24時間リアルタイム化が進むほか、トークン化資産の活用も売買にとどまらず、資金調達や担保利用へ広がっていると説明した。
同氏は、Rippleがこうした変化の中心に位置すると主張した。XRPなどのデジタル資産を活用し、従来の金融システムにおける資金移動の非効率を低減する構想だという。個別の技術やサービスに特化する企業とは異なり、多様な金融インフラを統合し、「価値のインターネット」の実現を目指す姿勢も示した。
2026年に発表した製品や提携も事業の多角化を後押ししている。Rippleは、AIエージェントによる決済を支援する開発ツール「XRPL AIスターターキット」を投入したほか、ステーブルコインRLUSD向けプラットフォーム「Ripple Mint」も提供。発行・運用支援の基盤拡充を進めている。
欧州市場では、暗号資産規制のMiCAに基づく認可を確保し、Stripe傘下のPrivyとも提携した。これにより、決済やステーブルコインに加え、デジタル資産の保管や機関向けサービスへと事業領域を広げている。
もっとも、製品収益ランレートはあくまで年換算ベースの指標であり、実際の通期実績とは切り分けてみる必要がある。顧客数の増加が直ちに収益性の改善を意味するわけではなく、今後はRLUSDの採用拡大と機関顧客の獲得が、売上高や利益にどこまで結び付くかが焦点となる。
今後の注目点は、拡大した事業基盤を持続的な収益につなげられるかどうかだ。ステーブルコイン、機関向けカストディ、デジタル資産決済を一体的に展開し、規制対応力を高められれば、伝統金融とブロックチェーン産業をつなぐインフラ事業者としての存在感をさらに強める可能性がある。