OracleはAI Worldで、エージェント型AIを軸とする新たな企業向けアプリ群を発表した。写真=Shutterstock

Oracleのマイク・シシリア共同CEOは28日、AIが業務スピードを高める段階を超え、企業に業務そのものの必要性を見直すよう迫っているとの認識を示した。Oracleは同日、年次イベント「AI World」で、エージェント型AIを中核に据えた新たな企業向けアプリケーション群も公表した。

TechRadarが報じたところによると、シシリア氏はイベントで「今ある仕事のすべてが将来も必要だとは限らない」と述べ、「AIは組織のプロセスを根本から書き換える」と強調した。

同氏は、従業員が日常的にこなしてきた業務のうち、将来にわたって本当に必要なものが何かを改めて精査すべきだと指摘した。その上で、AIは人々に「より人間らしく生きる時間を与える」とも語った。

こうした発言は、Oracleが新たなAIベースの業務アプリを打ち出したタイミングと重なる。今回の発表では、単なる業務支援ではなく、複数の業務プロセスをまとめて担うエージェント型AIを前面に押し出した。

Oracleは、AIの活用が実証段階を過ぎ、本格導入の局面に入ったとみている。個別作業の効率化にとどまらず、特定の業務工程そのものを不要にできる可能性があるという。実際、同社の採用チームではエージェント型AIを使い、市場調査の事前準備を15〜20分で完了している。従来は2〜4日かかっていたとしている。

新たに公開したFusion向けのエージェント型アプリケーションは、推論、業務データの分析、結果のシミュレーションに加え、承認済みアクションの実行機能を備える。Oracleは、AIエージェントが状況や課題を把握し、次の打ち手をシミュレーションしたうえで最適な選択肢を実行する仕組みだと説明した。

人事部門向けには、現場の需要を踏まえた戦略的人員計画ツールも用意した。人員需要の予測や人材ギャップの把握、必要な調整への対応を想定しており、これまで手作業に頼ってきた業務の自動化を通じて、売上に直接結びつかない管理業務の負担軽減を狙う。

顧客対応分野では、役員向けブリーフィング資料を作成するアプリも示した。顧客の履歴や関連企業ニュース、売上ポテンシャルを調査し、面談前に要点を1つの資料にまとめる。会議準備に伴う事務作業を減らし、営業人員が売上に直結する業務へより集中できるようにするという。

Oracleでアプリケーション開発を担当する上級副社長のカーティク・ラガバン氏は、「組織がビジネス目標を成長機会、安定したサービス、より強い顧客信頼へとつなげられるようにする」と述べた。

シシリア氏の発言は、企業が今後どのように生産性を測るかという問いも投げかけている。より多くの業務をこなすことが、そのまま長時間働くことを意味するわけではないという問題意識だ。Oracleは、生産性向上の次の段階として、業務フロー全体の自動化に向かう方向性を示した格好だ。

一方で、雇用を巡る懸念はなお残る。OracleはAI Worldで、企業は働き方そのものを再考すべきだとのメッセージを繰り返した。同時に、高度なAIを先行導入した企業では、仕事がなくなるのではなく、別の形へ置き換わる可能性があるとの見方も示した。シシリア氏はイベント終盤、「私たちは人々に、より人間らしい時間を与えている」と改めて語った。

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