世界の金融・フィンテック業界で、AIがマーケティングの中核ツールとして定着しつつある。なかでも、ChatGPTなど生成AIの検索結果で自社情報の露出を高める「AEO(Answer Engine Optimization)」が新たな投資先として注目を集めている。一方で、効果測定や全社横断の戦略整備は依然として不十分であることが分かった。
フィンテックニューススイスによると、フィンテックマーケティングコミュニティとデジタルマーケティング企業Accuracastは、金融・フィンテック企業のマーケティング責任者105人を対象に実施した調査結果を公表した。回答者の約70%は、デジタルマーケティングの成果が期待通り、もしくは期待以上だったと評価した。特に、顧客ごとのパーソナライズ施策やデータ分析で高い効果が見られた。
2026年の新規投資の優先分野では、AEOとAI検索での露出拡大が上位に入った。回答者の32.5%が、この分野を新たな投資先として挙げた。
AEOは、生成AIが利用者の質問に答える際、自社の情報やコンテンツが参照・引用されやすいよう、Webサイト構造やコンテンツを最適化する取り組みを指す。
ただ、成果はまだ限定的だ。AEO関連投資で一定の改善効果を確認したと答えた企業は27.5%にとどまり、22.5%は測定可能な成果が出ていないと回答した。
AI導入そのものは急速に広がっている。回答者の75%は複数のマーケティング業務でAIを活用しており、19.44%は個別業務に限定して導入していると答えた。
その一方で、複数業務でAIを継続利用している企業のうち44.4%は、全社を対象とした明確な統合戦略がないと回答した。成果測定についても、34.4%が定期的にKPIを追跡している一方、同じく34.4%は非公式な指標に依存していた。
AIの効果は、コンテンツ制作や集客領域で目立った。回答者の25.6%は顧客ターゲティングの精度と関連性の向上を、23.1%はコンテンツ制作のスピードと生産量の改善を、最大の成果として挙げた。
一方、顧客獲得コストの削減や顧客維持率の改善を有意な効果とみなした割合は、いずれも18%にとどまった。
今回の調査は、金融業界でAIマーケティングの導入が加速する一方、売上への寄与や長期的な競争力につなげるための成果管理体制は、なお発展途上にあることを示している。