スコット・ベセント米財務長官のAI生成画像(画像=Gemini)

米財務省は、ドル連動型ステーブルコインがドルの国際的地位を支える手段になり得るとの認識を示した。発行体が準備資産として米国債を保有する構造を通じ、ドルへのアクセス拡大や米国債需要の下支えが期待できるという。一方で、デジタル資産の市場構造全般を定める法整備は遅れており、規制の空白が続く可能性も残る。

Bitcoin Magazineが28日付で報じたところによると、スコット・ベセント米財務長官はニューヨークで開かれたRippleのカンファレンス「Swell」で講演し、デジタル資産、人工知能(AI)、半導体を、米中が主導権を争う戦略分野に挙げた。

ベセント長官は、ブラッド・ガーリングハウスRipple最高経営責任者(CEO)との対談で、ドルの優位を支える基盤が変わりつつあると指摘した。米国はこれまで軍事力を背景に影響力を維持してきたが、今後は技術インフラの重要性が一段と高まるとの見方を示した。

その上で、ドルの影響力を広げる手段としてステーブルコインに注目した。ドル連動型ステーブルコインの発行体は、一般に準備資産の一部を米国債で運用している。こうした仕組みによって、高インフレや通貨不安に直面する国・地域の利用者がドルにアクセスしやすくなる可能性があるという。

実際、市場ではドル連動型ステーブルコインが圧倒的なシェアを占めている。CoinGeckoの集計では、ドル建てステーブルコインの比率は98%超。TetherのUSDTとCircleのUSDCが最大シェアを握っており、ステーブルコイン市場が実質的にドル中心である構図が鮮明になっている。

一方、制度面の整備はなお不安定だ。米通貨監督庁(OCC)は、決済用ステーブルコインの発行要件を盛り込んだジーニアス法の施行規則を確定し、連邦レベルの規制枠組みは2027年1月18日に発効する予定とされる。これに対し、デジタル資産の市場構造全般を扱うクラリティ法は、9月15日の上院での手続き採決で49対50で否決された。

対立点となったのは、連邦公職者の暗号資産を巡る利害関係と、ステーブルコインの利回り付与に関する条項だった。この過程では、銀行業界とホワイトハウスの間でも、利回り条項を巡る見解の相違が表面化した。

ベセント長官はこうした状況に失望感を示す一方、財務省が証券取引委員会(SEC)や商品先物取引委員会(CFTC)と連携することで、規制の空白を一部補えるとの考えを示した。議会での法制化が遅れても、既存権限の範囲内で当局間の協調を強化する方針とみられる。

また、銀行が暗号資産企業との取引を停止する、いわゆる「デバンキング」の問題にも言及した。再発防止に向け、規制上のベストプラクティスや保護措置を整備できるとしたものの、具体的な実行計画や専任組織、実施時期は示さなかった。行政当局は現行権限の範囲でルールを明確化できる半面、法律に比べて持続性に乏しく、次期政権で方針が覆る可能性もある。

来週の米中間選挙も先行きを左右する要因となる。TD Cowenは、中間選挙の結果次第でクラリティ法案の処理がさらに遅れる可能性があると予測した。ステーブルコインを軸にデジタル資産の制度化が進む一方、市場構造全般を包括する立法の空白は当面続くとの見方が出ている。

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