中国のロボティクス分野への投資が拡大し、累計額で米国を上回ったことが明らかになった。一方で中国国内では、ヒューマノイドロボットを中心に類似製品の乱立が進み、当局が過熱に警戒感を強めている。
Cryptopolitanが28日付で報じたところによると、中国のロボティクス分野における累計投資額は132億ドルとなり、米国の121億ドルを上回った。
世界全体でも投資は急拡大している。2026年第3四半期のロボティクス分野のベンチャー投資額は99億ドルと、1年前の43億ドルの2倍を超えた。
2026年1〜9月の累計投資額は、前年同期比で約185%増加した。ドイツは17億ドルにとどまり、中国と米国に大きく水をあけられた。
個別案件でも大型の資金調達が相次いだ。中国では、広州のXpeng Roboticsが9億ドル、深センのAI² Roboticsが7億3600万ドルのシリーズC資金を調達した。
米国でも大型案件が続いた。トラビス・キャラニック氏のAtomsや、ピッツバーグのSkild AIが資金を呼び込み、Skild AIは「Skild Brain」モデルの開発に向けて14億ドルを調達した。
ユニコーン企業の増加ペースも速い。Crunchbaseのユニコーンリストに掲載されたロボティクス企業約75社のうち、直近3年以内に資金調達を実施した企業が多く、このうち45社は2026年に新たに加わった。
データレイヤー企業Encordの共同CEO、ウリク・スティグ・ハンセン氏は、フィジカルAIが本格成長局面に入りつつあるとの見方を示した。
もっとも、中国国内では過熱を警戒する声も強まっている。中国国家発展改革委員会のリ・チャオ報道官は、2025年11月末時点で中国国内のヒューマノイドロボットメーカーが150社を超えたと明らかにした。
リ氏は、似通った製品が過度に増えれば、研究開発投資を圧迫する恐れがあると警告した。
実際、投資マネーの流れには一部で鈍化の兆しも出ている。中国のフィジカルAI企業に対する投資額は、8月の194億元から9月には116億元へと減少し、前月比で40.1%落ち込んだ。
第3四半期累計の投資額は333億元で、上半期比28.7%減となった。国有系投資家の一部は、新たなフィジカルAI投資の検討を停止しているという。
背景には、9月に中国の証券当局が示した非公式の行政指導、いわゆる「ウィンドウ・ガイダンス」がある。ヒューマノイドロボットのスタートアップが上場を目指す場合、安定した売上高や縮小傾向にある赤字、あるいは実質的なイノベーションの実証が求められるとされた。
中国を代表するヒューマノイド企業Unitree Roboticsでも、上海上場後に付けた高値から株価が半値近くまで下落しており、市場の警戒感を映している。
それでも資金調達は止まっていない。Unitree Roboticsと並ぶ中国ロボット業界の中核企業とされるAgibotは、企業価値約500億元で10億〜15億元の調達を進めている。
一方、米国は投資競争とは別に、中国製ロボットの流入を抑える制度整備を急いでいる。6月3日には、ジョン・ムーレナール、ジェイ・オーバーノルト、ジェニファー・マクレランの各下院議員がGUARD法案を提出した。
同法案は、国家安全保障関連機関が競争国製のヒューマノイドロボットおよび4足歩行ロボットを審査し、脅威と判断した場合に輸入を禁止できるようにする内容だ。
7月28日には、米連邦通信委員会(FCC)が海外製の先端ロボットをカバード・リストに追加した。このリストに掲載されたロボットは、米国防総省の条件付き許可がない限り、FCCの承認を受けられない。
米下院は別途、国防予算法案も可決した。同法案の第163条では、国防総省による中国・ロシア・イラン製ヒューマノイドシステムの購入・運用を禁じている。
市場シェアでは、すでに中国が優位に立っている。中国メーカーは、2026年上半期の世界のヒューマノイド出荷台数約2万2000台のうち86%を占めた。
投資拡大と規制強化が同時に進むなか、今後のロボティクス市場は、中国の資金力と供給力、米国の安全保障規制がせめぎ合う展開となりそうだ。