Zcashは誕生10年を機に、技術面での蓄積にも改めて注目が集まっている。写真=Shutterstock

プライバシー重視の暗号資産Zcash(ZEC)が誕生10年を迎え、再び市場の関心を集めている。累次のネットワークアップグレードで取引情報の保護機能と使い勝手を高めてきたことに加え、足元の価格上昇や、AI普及に伴うデータ追跡への懸念の高まりが追い風となっている。

ブロックチェーンメディアのU.Todayによると、Zcashは2016年10月のローンチ以降、主要なネットワークアップグレードを10回実施し、プライバシー機能と取引効率を段階的に改善してきた。

Zcashの中核にあるのは、送金元、送金先、取引金額などを公開しない「遮蔽取引」だ。初期には処理速度の遅さや手続きの複雑さが課題とされたが、継続的な改良により、モバイル環境でも遮蔽決済を利用しやすい仕様へと進化してきた。

代表例がSaplingとBlossomだ。Saplingは遮蔽取引の計算効率を高め、モバイル端末での決済処理を後押しした。Blossomではブロック生成時間を半減し、取引確認の高速化を図った。

その後のHeartwoodとCanopyでは、ネットワーク構造や資金調達の枠組みを見直した。とりわけNU5では、OrchardプロトコルとFlowerベースの証明システムを導入し、遮蔽取引の効率とセキュリティを改善した。初期設計で必要だった信頼設定手続きへの依存も抑えたという。

さらにZcashは、NU6、NU6.1、NU6.2、NU6.3といった後続アップグレードを通じて、プロトコルの改良を継続してきた。こうした開発は、プライバシー機能の強化にとどまらず、ネットワーク運用や全体的なユーザー体験の改善にも重点を置いている。

足元では、価格動向も再評価の一因となっている。ZECはこの夏、日足ベースで400〜550ドル(約6万〜8万2500円)のレンジで推移した後、8月末に上放れた。

その後も上昇基調が続き、9月末には1700ドル近辺(約25万5000円)まで急伸した。

もっとも、急騰後には調整局面もあった。10月中旬には1100ドル(約16万5000円)を下回ったが、その後は持ち直した。U.Todayの報道時点では1308ドル前後(約19万6200円)で推移し、短期移動平均線を再び上回っていた。

テクニカル面では、1200ドル近辺(約18万円)がまず主要なサポートラインとして意識されている。10月に入ってから複数回にわたり買いが入った水準だという。

この水準を割り込んだ場合は、1050ドル近辺(約15万7500円)を再び試す可能性がある。さらに下げが進めば、820ドル(約12万3000円)が次のサポート帯として見込まれている。

一方、上値では1370ドル近辺(約20万5500円)が最初のレジスタンスラインとされる。終値ベースでこの水準を明確に上回れば、1500ドル(約22万5000円)への再挑戦も視野に入るとの見方が出ている。

ただ、こうした価格水準はあくまでテクニカル分析に基づく目安であり、実際の値動き次第で変動しうる。

過熱感を示す指標は比較的中立的だ。相対力指数(RSI)は55近辺で、買われ過ぎでも売られ過ぎでもない水準にある。出来高も高値形成後は落ち着いており、強い買いが本格的に再流入したとまでは言い切れない状況だ。

価格動向とは別に、Zcashの中長期的な競争力はプライバシー技術にあるとの見方もある。AI技術の普及でオンライン上のデータ収集や追跡への懸念が強まるなか、金融取引で個人情報を守りたいという需要にも関心が集まっているためだ。

取引情報を選択的に開示できるZcashの遮蔽技術は、こうした環境下で改めて注目を集める要因の一つとされる。

誕生10年という節目は、短期的な相場材料にとどまらず、継続的な技術開発の積み重ねを示すものでもある。一方で、プライバシー機能への関心が実利用の拡大や持続的な需要につながるかどうかはなお見極めが必要だ。

当面は1200ドルのサポート維持と1370ドルの上抜けが、相場の方向感を占う焦点となる。中長期では、遮蔽取引の利便性向上と採用拡大が、Zcashの競争力を左右しそうだ。

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