Cardano(ADA)関連のイメージ。画像=Shutterstock

Cardanoの財務から2200万ADAを拠出し、現物の銅を購入したうえでトークン化する提案が、合憲性審査でつまずいている。採決期限を前にガバナンス面での異論が相次ぎ、承認の行方は不透明になってきた。

Decryptが28日(現地時間)に報じた。この案件は、Cardanoが進める実物資産連動型資産(RWA)のトークン化戦略を占う案件として注目を集めてきた。一方で、資金執行前の憲法順守や監督体制の整備をめぐる懸念が表面化している。

提案を提出したのはToto Finance。10月15日に「Cardano Strategic Copper Reserve」を提示し、Cardano財務から2200万ADAを拠出して銅カソードを購入し、それを裏付け資産としてオンチェーン・トークン「CuTT」を発行する構想を示した。

調達資金の約3分の2は高品位銅の取得に充てる計画だ。銅は認定倉庫で保管し、検証済みの銅1ポンドごとにCuTTを1枚発行する設計としている。

計画では、Toto Financeが銅を最長2年間保有した後、管理された手順で売却する。純利益と未使用資金については、36カ月以内に財務へ返還する必要がある。

ただ、元本相当のADA回収や収益確保は保証されていない。提案書では、すべての手数料上限を織り込んだ場合の損益分岐点となる銅価格を1ポンド当たり10.06ドル(約1509円)と試算。例示した購入価格は6.73ドル(約1010円)としている。

もっとも、提案は合憲性審査の段階から難航している。Cardano憲法委員2人が、10月22日と23日にそれぞれ反対票を投じた。

反対理由の一つが、提案文書の扱いだ。委員らは、文書が提案者のWebサイトに掲載されている点を問題視した。提出されたガバナンス文書は改変不能な状態で維持されるべきだが、暗号学的ハッシュでは変更の検知はできても、サイト運営者による差し替え自体は防げないと指摘している。

資金受け取り口座の委任設定も論点になった。当該口座はステークプールへの委任と同時に、「棄権」の選択肢にも委任する構成となっており、憲法委員はこれを憲法に適合しないと判断した。

さらに、ある委員はToto Financeが唯一の管理者に指定されている点にも懸念を示した。資金執行を独立して検証する監督の仕組みが、なお確定していないという。

承認には、Cardano憲法委員会メンバーの少なくとも3分の2が合憲と判断する必要がある。現時点では5人の委員が未投票だ。

委任代表(DRep)による投票でも、足元では反対が優勢となっている。最新集計では反対が32.8%、賛成が0.32%、未投票が66.87%。投票は2026年11月15日まで続き、最終結果が変わる余地は残されている。

資金運用後の監督体制も課題だ。Toto Financeは、米PwC加盟法人を独立監督の優先協力先として挙げているものの、契約はまだ締結していないとしている。

また、Cardano財団の「RIV Reporting Layer」も提案段階にとどまる。監査義務に関する整理に加え、EthereumとCardano間のブリッジに対するセキュリティレビューも完了していない。

トークン発行の仕組み自体も、検証と安全性の面で追加的な負担を伴う。財務資金で組成したCuTTはEthereum上のエスクローにロックし、Cardano側で対応するブリッジトークンを発行する方式を採る。

そのため、現物銅の保管状況や数量を検証し、オンチェーン上のトークン残高が実資産と一致しているかを確認する手続きが必要になる。関連契約がすべて締結される前でも提案の提出自体は可能だが、進捗状況の開示は求められる。

Toto Financeの最高経営責任者(CEO)は10月28日に開かれた「Cardano Governance Hour #12」で、Cardano財団のガバナンス責任者とこの案件を協議する予定だ。

今回の提案は、現実資産のトークン化拡大を進めるCardanoにとって、憲法上の安全装置と透明な資金管理体制を両立できるかを問う試金石になりそうだ。Cardano創設者のチャールズ・ホスキンソンは、現実資産のトークン化を今後5年間の暗号資産業界の主要な成長ドライバーと位置付けてきた。

Cardano財団もこれまでに、ロンドン証券取引所グループ、MembersCap、Acruxと関連イニシアチブに参加している。

一方で今回の銅準備金案は、トークン化ビジネスの可能性だけでなく、憲法順守、独立監督、資産検証体制まで含めて立証しなければならない課題を浮き彫りにしている。

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