米国政府は、中国製通信機器を対象としてきた輸入・販売規制の対象を、ドローンやルーター、ロボット掃除機など消費者向け機器にも広げている。安全保障上の脅威を排除する狙いだが、規制の実効性や米国内での代替生産体制を巡る議論も強まっている。
米メディアThe Vergeによると、米連邦通信委員会(FCC)はドナルド・トランプ第2期政権の発足以降、海外製電子機器に対する規制を相次いで強化してきた。
米国は10年以上前から、HuaweiやZTEなど中国の通信機器メーカーを安全保障上の脅威とみなしてきた。その後、これら企業の新規機器に対する承認を制限し、通信事業者には既存機器の撤去・交換も求めてきたが、一部事業者では交換がなお完了していない。
規制対象は2025年12月に海外製ドローンへ拡大。2026年3月には海外生産の家庭用ルーター、7月には先進ロボットと電力インバーターが追加された。
先進ロボットの規制には、自律走行ロボットに加え、一定の要件を満たすロボット掃除機やロボット芝刈り機も含まれる。
今回の規制の中核となるのが、FCCによる機器承認の制限だ。対象となった海外生産品は、新モデルについて原則、米国内で販売するための承認を受けられない。
一方、すでに承認を得ている製品は販売と使用を継続でき、条件付きで承認を受けた場合は例外も認められる。
FCCは、海外製機器が個人情報の流出や遠隔操作、通信網の攪乱などに悪用されるおそれがあると主張している。これに対しThe Vergeは、特定製品の脅威を裏付ける公開情報が乏しいうえ、例外承認の基準も不透明だと指摘した。
実際、NetgearとASUSは一部ルーター製品で条件付き承認を得た一方、TP-Linkは新製品の投入に苦戦しているという。TP-Linkは米国内でのルーター生産に向け、約10億ドル(約1500億円)を投じる計画も示した。
代替サプライチェーンの確保も課題だ。米国で販売されるドローンやルーターの多くは海外生産で、ロボット掃除機市場でも中国企業の影響力は大きい。
米政府は、今回の規制が国内製造の育成やサプライチェーンの安全保障強化につながると期待する。一方で、製品の選択肢が狭まり、価格上昇を招くとの懸念も出ている。