Pearl Abyssが、「Crimson Desert Enhanced」で初となる有料ダウンロードコンテンツ(DLC)を投入する。本編は3月の発売後に世界累計販売本数600万本を突破したが、初動後は販売ペースが鈍化しており、追加収益の確保が課題となっていた。DLC投入や対応プラットフォームの拡大を通じ、販売の長期化と収益拡大を図る。
ゲーム業界関係者によると、Pearl Abyssは30日、オープンワールド・アクションアドベンチャー「Crimson Desert Enhanced」の第1弾DLC「未知の旅」をグローバルで発売する。本編発売から約7カ月での投入となる。
「未知の旅」の柱は、探索の舞台を従来の大陸中心から海上・海底へ広げる点だ。プレイヤーは船を建造して航海し、新たな島々を探索できる。潜水服を制作し、海底遺跡や宝物を探したり、新たな敵と戦ったりする要素も加わる。
戦闘や探索に加え、生活コンテンツも拡充する。特定の人物と関係を深めて恋愛や結婚に発展させる要素のほか、施設を借りて運営し収益を得る経営システムも導入する。住居空間の設計や装飾を楽しめるハウジング機能も強化した。
発売日は当初の16日から2週間延期した。Pearl Abyssは、安定したプレイ環境の確保とコンテンツ完成度の向上に追加の開発期間が必要だったと説明している。価格は2万7800ウォン。PCとコンソール向けに販売する。
発売を前に、海外アワードでもノミネートが続いている。「Crimson Desert Enhanced」は26日に発表された「Golden Joystick Awards 2026」で、最高賞に当たる「Ultimate Game of the Year」の候補に選ばれた。先に発表されていた「PC Game of the Year」「Best Soundtrack」と合わせ、計3部門で候補入りしている。
◆600万本突破後に販売鈍化、有料DLCでてこ入れ
「Crimson Desert」は3月20日の発売後、初日で200万本、26日で500万本を販売し、6月には世界累計販売本数が600万本を超えた。
初動のヒットは業績にも直結した。2026年1~3月期の「Crimson Desert」売上は2665億ウォン。同期間の連結売上高は3285億ウォン、営業利益は2121億ウォンだった。
一方、4~6月期の「Crimson Desert」売上は1361億ウォンと前四半期比で約49%減少した。全社ベースでも売上高は1926億ウォン、営業利益は676億ウォンに落ち込んだ。本編の販売ペース鈍化に加え、パッケージ版の売上計上時期も四半期業績に影響した。
Pearl Abyssは8月、2026年の「Crimson Desert」売上見通しを従来の6441億~7348億ウォンから、4689億~4973億ウォンへ下方修正した。パッケージ版の売上計上時期や販売動向を反映した見直しとしている。
パッケージゲームは発売直後に本編販売が集中しやすく、その後の売上維持には既存ユーザーの追加購入喚起か、新規ユーザーの獲得が欠かせない。新ストーリーや新地域、ゲームシステムを別商品として提供する有料DLCが主要な収益手段として使われるのはそのためだ。
Pearl Abyssは8月、ストーリーやゲーム性を改善した「Crimson Desert Enhanced」を既存ユーザー向けに無償提供した。今回はそこから一歩進め、有料DLCによる追加収益の確保に乗り出す。
DLC投入は10~12月期の業績改善にもつながるとの見方が出ている。Meritz Securitiesはリポートで、Pearl Abyssの7~9月期連結売上高を1196億ウォン、営業利益を335億ウォンと予想。DLC売上が反映される10~12月期は、売上高1594億ウォン、営業利益504億ウォンに増えると見込んだ。
◆DLCとプラットフォーム拡大を並行、新作までの収益の谷を埋める
Pearl AbyssはDLC投入と並行し、本編の値引き販売と新規プラットフォーム展開も進めている。8月には初のセールを実施し、2027年上半期の投入を目標にNintendo Switch 2版も準備中だ。
施策ごとに狙う需要は異なる。DLCは既存購入者向けの追加販売、値引き販売は価格面で購入を見送っていた層の取り込み、プラットフォーム拡大は新たなデバイス利用者の獲得が目的だ。
発売初期に偏りがちな売上を、その後の複数のタイミングで積み増す戦略ともいえる。今回のDLCで加わる航海、拠点経営、ハウジングといった要素は、本編クリア後のユーザーにも新たな遊び方を提供する。既存ユーザーの復帰を促しつつ、新コンテンツ販売による収益拡大を狙う構えだ。
次回作までの空白期間も無視できない。Pearl Abyssは「DokeV」を2028年下半期の発売目標で開発している。新作投入までの間は、「Crimson Desert」と既存主力タイトル「Black Desert」の収益持続力が重要になる。
もっとも、有料DLCだけで本編発売時の大型売上をそのまま維持するのは容易ではない。追加コンテンツの継続開発にはコストがかかるため、販売実績と開発負担の両面を見極める必要がある。DLCとプラットフォーム拡大で追加売上をどこまで積み上げ、大型新作の投入までの業績変動を抑えられるかが焦点となる。
Meritz Securitiesのイ・ヒョジン研究員は「最近のパッケージゲームのトレンドを踏まえると、年1本のDLCという想定は流れに合っている」と分析した。同社は、初のDLC投入が想定より前倒しになった点を踏まえ、2027年末の追加DLC投入の可能性も業績見通しに織り込んだ。
今回のDLCは、初動のヒットを継続的な収益につなげられるかを占う最初の材料となる。単発の大型ヒットに偏りがちな売上構造を補い、次回作投入まで安定した収益基盤を築けるかが問われる。