暗号資産市場では、Bitcoinが8万ドル近辺で神経質な値動きを続けている。22日に3%超下落し、24日には一時7万9000ドル台まで下げ、約1カ月ぶりの安値を付けた。
相場の重荷となったのは、中東情勢への警戒と株式市場の不安定化だ。AI業界の資金調達懸念で株式市場が揺れるなか、米国の中東駐留要員の撤収を巡る報道も重なり、リスク回避姿勢が強まった。これを受け、ロングポジションの清算と現物ETFからの資金流出が同時に進んだ。
週末にかけて8万ドルの節目が脅かされた背景には、米国がイランの攻撃準備に関する情報を受け、中東の大使館や軍基地の要員を急ぎ退避させているとの海外報道があった。これに伴い、株式市場でも不安心理が強まった。
AI向けクラウド企業CoreWeaveの急落も市場心理を冷やした。同社株は週間で15.5%下落し、2025年5月以来の安値を付けた。Bernsteinは目標株価を74ドルから51ドルへ引き下げた。QCP Capitalは、AI向けクラウド業界の信用ストレスが株式市場全体の弱さにつながったと分析している。
さらに、NVIDIAのジェンスン・フアンCEOが「資本の希少性」に言及したことも、投資家心理の重荷になった。
市場の関心は次の重要イベントに移っている。29日のFOMCでは、フェデラルファンド金利が現行の3.75〜4%で据え置かれるとの見方が9割を超えている。
市場では、利上げか据え置きかという判断そのものよりも、ケビン・ウォッシュFRB議長の記者会見での発言を重視する見方が強い。CME FedWatchでは、12月FOMCで0.25%ポイントの利上げが織り込まれつつある。
31日には、FRBが重視するインフレ指標である個人消費支出(PCE)物価指数と、7〜9月期GDPが公表される。主要企業の決算では、29日にMicrosoftとAlphabet、30日にAmazonとIntelが発表を予定している。
AI関連株の調整がBitcoinにどの程度波及するかも注目点だ。CryptoQuantのチュ・ギヨンCEOは、Bitcoinは直近のAI関連株上昇の流れにほとんど乗れていないため、AI市場が調整しても影響は限定的になり得るとの見方を示した。
一方で、AI株の購入に向かった資金がBitcoin市場へ戻る可能性には言及しつつも、AIバブル崩壊が直ちにBitcoinの追い風になるとの見方には距離を置いた。
規制面では、米国のステーブルコイン制度整備が最終段階に入った。通貨監督庁(OCC)はGenius法の最終施行規則を確定した。
スコット・ベセント財務長官は21日、SNSで同法を評価した。1863年の国法銀行通貨法が銀行発行通貨の枠組みを整えたように、デジタル時代の決済用ステーブルコインについても連邦レベルの枠組みを設けたとの認識を示した。
韓国でも制度設計は詰めの局面を迎えている。政府と関係機関は、デジタル資産基本法に盛り込むウォン建てステーブルコインについて、発行主体、準備資産、償還体制を巡る協議を続けている。
足元で取り沙汰されているのは、銀行が「50%+1株」以上を確保するコンソーシアムに発行を認める案だが、最終決定には至っていない。韓国銀行のシン・ヒョンソン総裁は12日の国政監査で、民間によるウォン建てステーブルコイン導入に基本的に賛成する考えを示し、方式については政府との合意に沿って民間銀行主導のコンソーシアムになるとの見方を示した。
ステーブルコインが決済手段として広がれば、大規模な償還請求や準備資産の売却が金融市場の変動性を高める可能性がある。韓国銀行が銀行中心の枠組みを重視する背景には、こうした懸念がある。銀行は資本健全性や流動性、マネーロンダリング防止の規制対象であり、既存の監督体制を活用しやすい利点もある。
このため韓国では、ウォン建てステーブルコイン発行を認める制度整備に加え、実際の決済や送金で使える利用先の拡大と流動性確保を並行して進める必要があるとの指摘が出ている。
個別銘柄では、今週もXRPへの関心が高かった。強気シナリオの根拠として注目されているのが、時間軸に基づく過去の値動きだ。The Crypto Basicの分析によれば、XRPは2020年以降、12〜14カ月周期で上昇局面と下落局面を繰り返してきたという。
2020年5月の0.219ドルから2021年5月には1.65ドルまで上昇し、その後は下落局面を経て、2025年7月に3.50ドルまで上げた。その後、2026年7月には1.09ドルまで下落した。足元は8月前後に始まった新たな上昇局面の初期段階とされ、このパターンが続けば次の転換点は2027年7月前後になるとの見方が出ている。
当面のレジスタンスは1.70〜2.00ドルとされる。月足ベースで1ドルを割り込めば、高値と安値を切り上げてきた構造が崩れる可能性がある。もっとも、この分析は確定的な予測ではなく、トレンド点検の目安として示されたものだ。
一方、Rippleの元CTOは、XRPLについて過負荷時にはログ収集にも支障が出る弱点があると明かした。そのうえで、XRPL基盤のカードゲーム「Pudgy Cards」を評価した。成立しなかった「1XRP=1BTC」の注文という初期のエピソードも、あらためて注目を集めている。
もっとも、価格見通しが相次ぐ一方で、価格を裏付ける実需指標はなお明確ではない点には注意が必要だ。
このほか、予測市場のKalshiが伝統的な金融取引所の領域に踏み込みつつある。Bloombergによると、Kalshiは消費者物価指数(CPI)とコアCPIを追跡する上場先物契約を12月に投入する計画だ。
CPIに直接連動する唯一の先物となる見通しで、CME GroupやIntercontinental Exchange(ICE)が手掛ける金利・債券先物市場のマクロ投資家を取り込む狙いがある。Kalshiは「インフレ・ガイ」として知られる元Barclaysトレーダー、マイケル・アシュトン氏を起用し、大手銀行やヘッジファンド向けに商品を展開している。インフレが市場の主要変数となるなか、予測市場がデリバティブ市場の一角を占めるのかが注目される。
また、AIコーディングツールの普及によって、暗号資産ゲームを数日で開発できるようになり、10万本規模のゲームが一気に登場する可能性があるとの見方も出ている。参入障壁が下がるほど、質を見極める重要性は一段と高まりそうだ。