アーサー・ヘイズ氏は、人工知能(AI)インフラへの過剰投資が景気後退を招き、その後の流動性供給がビットコインなど暗号資産市場を押し上げる可能性があるとの見方を示した。
CNBCが7日(現地時間)に報じた。BitMEX共同創業者で、暗号資産投資会社Maelstromの最高投資責任者(CIO)を務めるヘイズ氏は、シンガポールで開かれた「ガンマ・プライム・インベスティング・カンファレンス」で、AI向けデータセンター建設に数兆ドル規模の資金が投じられていると述べた。
同氏は、足元のAIインフラ拡張を典型的な技術分野の過剰投資サイクルと位置付けた。テック企業はAIモデルの開発・運用に必要な計算資源の確保を急いでいるが、大規模な増設は最終的に供給過剰を招くおそれがあるという。
また、過去にも新技術を巡るインフラ投資競争が供給過剰と市場の崩れ、そして景気下支えのための資金供給につながったと指摘した。その際に市場へ放出される流動性は、ビットコインをはじめとする暗号資産が取り込むことになるとの見通しを示した。
ヘイズ氏は、データセンターの増設によって計算資源は潤沢になり、価格も低下するとの見方を示した。一方で、SpaceXやOpenAI、Anthropicといった大規模な計算需要を抱える企業の中には、十分な収益を上げられていない先もあると指摘。建設中のデータセンターが稼働段階に入れば、契約に基づく計算コストの負担が本格化する可能性があると説明した。
新設データセンターが本格稼働する時期としては、2027年末から2028年を挙げた。この時点で供給が需要を上回れば、AIインフラ市場は調整局面に入る可能性があるとみている。半面、今後12カ月以内にAI活用が一段と広がり、需要が十分に拡大して関連企業の収益化が進めば、強気相場が続く可能性もあるとした。
AIブームの恩恵を受ける企業については、選別的な見方を示した。メモリー半導体メーカーやNVIDIAなど一部の供給側企業はすでに利益を上げているが、投資家は現在の株価が将来利益に見合う水準かどうかを慎重に見極める必要があるという。一方で、AI関連株の下落を見込む空売り戦略には否定的な見解を示した。
ヘイズ氏は、AI投資の過熱が短期的には市場の停滞を招いたとしても、長期的には低コストな計算環境の整備につながる可能性があるとみている。その過程で供給される流動性に加え、AIエージェントによる決済需要も、暗号資産市場の新たな推進力になり得ると主張した。