ハリウッドで、AIを活用した映画制作への投資が広がっている。制作現場ではコスト削減や表現の幅の拡大に期待が集まる一方、観客の間では作品にAIが使われているかどうかを気にする動きも出始めた。
TechRadarが10月1日(現地時間)に報じたところによると、DreamWorks共同創業者のジェフリー・カッツェンバーグ氏は、AI技術を活用するアニメーションスタジオの設立計画を明らかにした。
同氏は、数カ月前まではAI生成コンテンツを「slop(ごみ)」と見ていたものの、足元では技術水準が大きく向上したと説明。AIを活用して映画やテレビ向けコンテンツを制作する考えを示した。制作費が下がれば、より多くの作品や新たなストーリーテリングの実現につながるとの見方も示している。
実際、AI映画制作には投資マネーも流れ込んでいる。AIで制作した3分間の予告編「The Gifted」はFuture Vision XPRIZEで優勝し、長編映画化に向けて250万ドル(約3億7500万円)規模の投資を確保した。さらに脚本開発費として10万ドル(約1500万円)も受け取る。
一方で、観客の関心はAI活用の有無にも広がっている。映画制作企画プラットフォームのFilmustageがGoogle Trendsを分析したところ、直近1カ月では「AIのない映画(movies with no AI)」の検索関心が345%増加し、「AIで作った映画(movies made with AI)」も112%伸びた。ただ、検索動向だけでAI映画に対する賛否を断定することはできない。
俳優側からは、人間の創作を重視する声も出ている。トム・クルーズは最近、ロンドンで開かれたBAFTA関連イベントで、AIが映画産業に入ってくる流れは避けられないとした上で、「人間と同じものはない」と発言。観客は実際の人間の経験を求めていると語った。
AI制作会社も、技術を俳優の代替ではなく制作支援のツールとして位置付けている。Utopai Studiosの最高執行責任者(COO)、ケビン・チョン氏は、AIが人間の俳優を置き換える方向は目指していないと説明し、「演技や中核的な創作上の意思決定は、引き続き人間が担うべきだ」と強調した。