警察などの捜査機関が用いるフォレンジックツールを巡り、iPhoneが自動再起動した後もデータを解析しやすい状態を維持できる可能性が浮上した。
米Engadgetが10月1日(現地時間)に報じたところによると、モバイルフォレンジック企業のMagnet Forensicsは、捜査機関向けに制作した説明動画の中で、「GrayKey Preserve」と、既存のGrayKeyに搭載される「Evidence Preservation Mode(証拠保全モード)」を紹介した。いずれも、Appleの自動再起動によってフォレンジック上のアクセス性が低下するのを防ぐことを目的とした機能だという。
AppleはiOS 18.1から、長時間ロック解除されていないiPhoneを自動的に再起動するセキュリティ機能を導入した。端末が再起動すると、状態は初回ロック解除後のAFUから、初回ロック解除前のBFUへ戻る。BFUではより多くの暗号鍵がロックされるため、フォレンジックツールによるデータアクセスの難度が大きく高まるとされる。
動画の中でMagnet Forensicsの社員は、新機能について、iPhoneのAFU状態を確保・保全し、電源断や再起動が発生してもその状態を失わないようにすると説明した。一方、具体的な仕組みは明らかにしていない。セキュリティ研究者の間では、システム時刻の操作や、データ失効に関わるプロセスの遮断などが手法としてあり得るとの見方が出ている。
また、GrayKey Preserveは端末への初期アクセス後、セルラー通信、Wi-Fi、Bluetoothを遮断し、外部との通信によるデータ変化を防ぐとされる。Magnet Forensicsは証拠保全モードについても、一定時間で消失する可能性がある位置情報キャッシュのほか、最近削除した写真やiMessageなどを保全できるとしている。
ただ、この動画は2025年初めに制作されたとされ、こうした技術が実際の捜査でどの程度使われたのか、また最新のiPhoneやiOSでも同様に機能するのかは確認されていない。スマートフォンのセキュリティ強化と、捜査機関によるデジタルフォレンジック技術のいたちごっこが続いていることを示す事例といえそうだ。