米証券取引委員会(SEC、写真=Shutterstock)

米証券取引委員会(SEC)は、投資助言会社や規制対象ファンドを対象とする暗号資産の保管規制改正案を公表した。一定の条件を満たせば自己保管を認めるほか、州法に基づいて設立された信託会社を顧客資産やファンド資産の保管機関として利用できるようにする。連邦官報掲載後、60日間の意見募集を行う予定だ。

10月2日付のCoinPost報道によると、改正案の柱は2つある。1つは、一定条件下で暗号資産の自己保管を認めること。もう1つは、州法信託会社を保管機関として活用できるようにすることだ。

今回の規則案は、登録投資助言会社のほか、投資信託や事業開発会社などの規制対象ファンドに適用される暗号資産の保管基準を見直す内容。SECは、現行の保管規定の多くがインターネット普及前に整備されたもので、現在の市場構造に十分対応できていないとみている。提案は、1940年投資顧問法と1940年投資会社法に基づく関連規則の改正案の一部に位置付けられる。

狙いは、投資助言会社が暗号資産に関する助言を提供する際の規制上のハードルを下げることにある。これにより、規制対象ファンドが暗号資産関連の投資戦略を顧客に提示しやすくなる可能性がある。

SECのポール・アトキンス委員長は、ビットコインの登場以降、暗号資産はニッチ市場を超え、投資家が積極的に投資機会を探る数兆ドル規模の資産クラスに成長したと説明した。その一方で、現行の資産保管規定はこうした変化に追い付いていないとし、今回の提案によって投資助言会社と規制対象ファンドに法的要件を満たす保管手段を示す考えを示した。

米上院が9月15日、クラリティ法案の採決に向けた討論終結動議を賛成49、反対50で否決した後も、SECは既存権限を使った暗号資産関連の対応を続けている。9月17日には、一部のトークン化証券の取引インフラと流動性供給者を対象に、時限的な規制免除措置を打ち出した。

また、企業財務部は9月25日と28日、暗号資産に関するFAQを公表した。実務担当者の見解をまとめたもので、暗号資産が証券に当たるかどうかを巡り、稼働中のシステムにおけるトークンの償還や通常のアップデートは投資契約には当たらないとの考えを示した。発行体の実務判断に影響を与える可能性がある内容だ。いずれも正式な規則制定ではないが、市場実務に影響し得る解釈指針としての性格を持つ。

立法の遅れが続く中、SECは例外措置や職員見解、規則案の提示を並行して進め、現行権限の範囲で暗号資産分野の制度整備を進めている。今後は、意見募集の過程で自己保管の許容範囲や信託会社活用の要件がどこまで具体化されるかに加え、投資助言会社と規制対象ファンドの商品設計にどのような変化が出るかが焦点となりそうだ。

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