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量子コンピュータがビットコインの暗号基盤を脅かすとの懸念が再び浮上している。もっとも、現時点の技術水準では現実的な脅威とみるのは難しいようだ。暗号解読に耐え得る規模と安定性を備えた量子計算機が、今後10年以内に実現する根拠は乏しいとの見方が示されている。

1日付のBitcoin Magazineによると、論点は量子コンピュータが公開鍵から秘密鍵を導き出し、他者のビットコインを不正に移転できるかどうかにある。ただ、現在の量子コンピュータの演算能力は、ビットコインの暗号を破る水準には達していないという。

量子コンピュータの開発は、超伝導量子ビットや中性原子、光ピンセット、レーザー冷却、希釈冷凍機など多様な先端技術を土台に進んでいる。一方で、実験や特定の計算課題で成果を示すことと、暗号解読に使える安定した大規模システムを実装することは別問題だと指摘されている。

とりわけ大きな課題は、量子ビットの安定性と誤り率にある。量子ビット数を増やすだけでは不十分で、計算中に発生するエラーを抑えながら、大規模なシステムを安定運用できなければならない。量子コンピューティング分野に巨額の資金が流入しているものの、それだけで暗号解読レベルの技術成熟を意味するわけではないとしている。

最近の研究成果についても、理論面の進展と実機の開発状況は分けてみる必要がある。Googleの量子コンピューティング研究のように理論的に重要な成果が出ても、それを実装できる安定した大規模装置が存在するかは別の問題だ。中性原子など複数の方式で開発競争が続いているが、どの技術が最終的に暗号解読可能な量子計算機につながるのかはなお見通せない。

ビットコインの暗号体系を量子コンピュータが攻撃できるかを巡る理論的な議論も続いている。ビットコインはsecp256k1楕円曲線をベースにした暗号技術を採用しており、これを量子コンピュータで破るには莫大な計算能力に加え、安定した量子状態の維持が必要になる。現時点では、その水準の装置が将来必ず実現すると断定できる段階にはないとの見方もある。

もっとも、こうした見方は、ビットコイン開発者が量子脅威への備えを止めてよいという意味ではない。量子コンピュータの実用化時期や技術的な限界を正確に予測するのは難しく、量子コンピューティングとは別の新たな暗号学的脆弱性が見つかる可能性もあるためだ。

このため、ビットコインのエコシステムでは既存の暗号方式を代替し得るポスト量子暗号の研究が続いている。P2MRやP2TRv2に加え、SHRINCS、SPHINCS、IBC、ML-DSAといった新たな署名方式を検討する動きもその一環だという。

現時点では、量子コンピュータがビットコインを直ちに無力化するとの見方は、技術の実態とかけ離れている可能性が高い。ただ、量子コンピュータの進化の速度や方向性を見通すのは容易ではない。ビットコインネットワークの長期的な安全性を確保するうえでも、次世代暗号技術の研究を継続する必要がある。

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