フォードのジム・ファーリーCEO。中国自動車メーカーの米市場参入には慎重な判断が必要だと述べた。写真=Ford

フォードのジム・ファーリー最高経営責任者(CEO)は9月30日、中国自動車メーカーの米国市場参入について、拙速に進めるべきではないとの考えを示した。欧州市場で中国勢が急速に存在感を高めたことを引き合いに、米国も慎重に対応すべきだと訴えた。

電気自動車関連メディアのInsideEVsが同日、報じた。ファーリー氏はデトロイトで開かれたAutomotive News Conferenceで、米国は中国メーカーの参入を急ぐべきではないと述べた。

ファーリー氏は「時間をかけて慎重に進めることが重要だ。欧州で起きていることを見れば分かる。欧州は今や対応を迫られており、もう手遅れだ」と語った。

同氏は、中国メーカーの海外展開が急速に進むなか、既存の完成車メーカーに対する競争圧力が強まっているとの認識を示した。低価格で航続距離の長い中国製EVが、市場シェアを急速に伸ばしているという。

CNBCが引用した資料によると、中国EVの世界市場シェアは2020年から2025年にかけて約70%拡大した。ファーリー氏は、欧州では中国ブランドのシェアが12%に達し、メキシコでは中国製車両が新車販売の25%を占めていると指摘した。

さらに同氏は、市場競争だけでなく国家安全保障の観点からも、中国車の米国進出を慎重に見極める必要があると主張した。中国車は自動運転機能を備え、「すべてを撮影できる」として、車両を通じたデータ収集の可能性に懸念を示した。

もっとも、フォードが中国メーカーとの協業を打ち切る考えを示したわけではない。フォードは中国のGeelyと欧州市場向けEVの共同開発を進めているほか、中国電池大手CATLとも米ミシガン州で電池生産を手がけている。

ファーリー氏は、中国企業と協業しながら競争する戦略は成り立つとの見方も示した。「知的財産上の制約が小さい分野では、欧州や東南アジアのように資本効率を高められる地域で中国と協力する。同時に、中国とは直接競争する」と述べた。

フォードの対中協業を巡っては、米政府から批判が出たこともある。ショーン・ダフィ米運輸長官は先月、フォードが中国企業との協力を拡大しているとして国家安全保障上の懸念を提起し、CATLとの電池事業やGeelyとのスペインでのEV事業を問題視した。

米国の対中自動車規制の方向性は、なお定まっていない。米上院商務委員会は7月、中国系の持ち分が15%を超える企業による車両販売を禁じる法案を可決したが、本会議での審議は遅れており、11月の中間選挙後に再協議される見通しだ。

この法案は、中国系投資家が持ち分を保有するグローバル完成車メーカーにも影響する可能性があり、審議の過程で修正されるとの見方も出ている。

中国自動車メーカーの米国参入を巡っては、政策論議が続いている。フォードは中国企業との協業を維持する一方、中国完成車メーカーの米市場進出には慎重な対応を求めており、今後の規制の行方が注目される。

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