Enhanceは10月1日、IBK企業銀行とオントロジーを活用したAIデータ分析の実証を開始したと発表した。銀行内の業務知識や暗黙知をAIエージェントが活用できる形に構造化し、現場担当者が自然言語で必要なデータを照会・分析できるかを検証する。
実証では、EnhanceのAIエージェントプラットフォーム「AgentOS」をIBK企業銀行の内部ネットワーク上に構築する。銀行の情報系データに業務上の意味や相互関係を付与するセマンティックレイヤーを整備し、オントロジーを用いて業務概念とその関係性を知識辞書として整理する。
さらに、この知識体系をデータベース構造と連携させることで、AIが銀行特有の業務用語や判断基準を踏まえて質問を解釈できるようにする。自然言語をSQLクエリに変換するText-to-SQLと、検索拡張生成(RAG)も活用する。
検証対象はデータ照会にとどまらない。原因分析や業務上の示唆抽出といった複合分析に加え、回答の根拠となる参照データや推論過程をあわせて提示できるかも確認する。
実証期間は11月まで。両社が事前に合意した評価用基準データ「ゴールデンセット」を用い、成果を定量的に評価する予定だ。
IBK企業銀行の関係者は、「今回の実証が、行内の業務知識と暗黙知を資産化し、AIエージェントが活用できる仕組みを整える『AIレディデータ』実現の出発点になることを期待している」とコメントした。
Enhanceのイ・スンヒョン代表は、「金融分野では、業務用語や判断基準といったドメイン知識をAIが活用できるよう、データの意味階層を整備することが重要だ」と説明した。その上で、「今回の実証を通じて、銀行の内部ネットワーク環境でも分析結果とその根拠をあわせて提示できることを示し、現場でのデータ活用を広げていきたい」と述べた。