写真=Hana Financial Groupの青羅ヘッドクオーター入口へ続く通路

Hana Financial Groupは、仁川・青羅国際都市に整備した「青羅ヘッドクオーター」への移転を本格化した。グループ各社を順次集約するとともに、近隣の統合データセンターと連携し、金融・デジタル機能を一体運用する体制を強化する。5G対応の無線業務環境や拡充したコミュニケーション空間を通じ、協業の促進も狙う。

同社は14日から、持株会社の全社員に加え、Hana BankとHana Financial TIの一部社員の勤務を青羅ヘッドクオーターで開始した。21日にはHana F&Iの全社員も移転した。

10月にはHana BankとHana Capital、11月にはHana Life、Hana Securities、Hana Fund Service、Hana Card、Hana Savings Bankなどが順次移転する予定だ。移転完了後は10社の関係会社から約2200人が新たに加わり、既存の青羅勤務者を含めると約4000人規模の拠点となる見通しだ。青羅は新拠点にとどまらず、グループのもう一つの中核拠点として位置付けられる。

青羅ヘッドクオーターは地下7階、地上15階建てで、延べ床面積は12万8,503平方メートル。設計段階から部門間、関係会社間の物理的な壁を低くし、協業しやすい空間づくりを重視した。オフィスを細かく区切らず、広いフロアの中で組織同士が自然につながる構成を採用している。

各業務フロアの専有面積は約1100坪で、従来の明洞社屋の約3倍。執務空間は横方向に大きく広がり、視界を遮る要素を抑えた開放的な設計とした。高い天井と曲線を生かした空間構成も、大型オフィスにありがちな圧迫感を和らげている。

フロア間の移動も見直した。3~7階と10~14階を結ぶ内部階段を設け、エレベーターで自席へ直行する従来型の動線からの転換を図った。別フロアの社員と自然に顔を合わせやすくし、偶発的な対話や新たな発想につなげる狙いがある。

コミュニケーションゾーンの面積は、明洞社屋に比べて約3倍に拡大した。同社は青羅ヘッドクオーターを、人員を収容する単なるオフィスではなく、人と組織を結ぶ「協業プラットフォーム」と位置付けている。

デジタル基盤の整備も進めた。青羅ヘッドクオーターには、同社によると金融業界で初となる5G対応の無線業務環境を構築した。クラウドPC(VDI)やメッセンジャー、ソフトフォンを活用し、有線ネットワークや固定席に縛られず、ノートPCを持って館内を移動しながら働けるようにした。

座席や会議室に加え、福利厚生施設もアプリとWebで予約できる。その日の業務内容に応じて必要な場所を選ぶ運用とし、「自席」に依存しない働き方を後押しする。

福利厚生面では、社員食堂を建物中央部の8~9階に配置した。8階は洋食、9階は中華のコーナーを設ける。地下1階にはテイクアウト可能な簡便食のスペースも整備した。入居カフェのほか、約200坪規模のフィットネス施設、スポーツマッサージルーム4室、リクライナー8席、カプセルルーム60室、保健室も備える。

執務環境だけでなく、長時間を社内で過ごす社員の休息や日常動線まで含めて設計した点も特徴だ。現地では、広い執務空間の先に黄海を望める眺望も印象的だった。

青羅に集まるのは人材やオフィス機能だけではない。青羅ヘッドクオーターの近隣には、2017年に開設したHana Financial Groupの統合データセンターがある。銀行、証券、カードなど関係会社の中核ITシステムを統合運用する拠点で、グループのデジタル基盤を支える中核施設と位置付けられている。

統合データセンターは地下1階、地上16階建てで、延べ床面積は約6万6000平方メートル。来訪者対応のウェルカムセンター、主要サーバーとITインフラを集約したコアセンター、IT専門人材が勤務するビジョンセンターで構成される。

施設全体で強固なセキュリティ体制を敷く。社員と外部来訪者の動線は分離され、外部来訪者は1回につき1人のみ通過できる入退場システムを利用する。入退場時には重量も検知し、入場時と退場時で差異があれば即座に統制できる仕組みを採用した。

センター内は全域がセキュリティ区域に指定され、写真撮影は認められない。指定された動線を外れた場合は、再度入退場手続きが必要になるなど、出入り管理も厳格だ。

中核には統合セキュリティ監視センターを置く。サイバー脅威をリアルタイムで監視・分析し、グループのITサービスや金融情報を保護する。Hana Financial Groupは、ハッカー組織の活動拡大を受け、関係会社ごとの対応ではなく、グループ横断で共同対応する必要が高まったことから運用を進めてきたとしている。

同社関係者は「2026年時点で、セキュリティ専門家35人が海外法人を含む22の関係会社の監視を担当している」と説明した。1日当たり約10億件超のデータを収集し、重要度や危険度、影響度などを基準に5000万件超を選別。そのうえで精密分析を行い、実際のハッキング攻撃を1日約400件特定しているという。

クラウド運用体制も拡充している。クラウド統合運用センターが、グループ専用クラウドと外部パブリッククラウドを24時間体制で監視する。同じ施設内には、グループのAI研究を担う融合技術院も置かれている。

融合技術院では、データ分析のほか、AI投資戦略、自然言語処理、画像・文書認識、ブロックチェーンなど、金融業に必要な技術を研究している。成果は、個別最適型の資産管理、信用評価、相談業務の自動化、金融文書処理などに活用されているという。

同社は統合データセンターを、「インフラ・クラウド・AI」でつながるデジタル金融革新の中核と位置付ける。AIインフラの増強も進めており、現在は統合データセンター7階をAIデータセンター向けの電算室として整備中だ。完成まで約2年を見込み、関連施設は2028年8月ごろに完成する見通しとしている。

これとは別に、第2データセンターの整備も推進する。同社関係者は「現在、AIデータセンター関連のTFを運営しており、1年以内に第2データセンターの構築計画を発表する予定だ」と述べた。

既存センターとの距離については、災害復旧を考慮し、少なくとも30キロメートル以上離れた場所での建設を検討しているという。同関係者は「最近は多くの企業や金融機関が、AIシステム運用に必要なデータセンター基盤の確保に注目している」とも話した。

Hana Financial Groupは今後、青羅ヘッドクオーターを社員向けの業務空間にとどめず、仁川地域の文化・体育イベントの開催にも活用する方針だ。国内外の個人・法人顧客が訪れる、グループの代表空間へ育成する構想を掲げている。

キーワード

#Hana Financial Group #青羅ヘッドクオーター #統合データセンター #AI #クラウド #5G #セキュリティ
Copyright © DigitalToday. All rights reserved. Unauthorized reproduction and redistribution are prohibited.