政府は、フロンティア級のAIモデル開発に向け、官民共同出資による特定目的会社(SPC)の活用を検討している。政府が約5兆ウォン(約5500億円)を拠出して約30%を出資し、残る約70%を民間が負担する案が浮上している。
9月30日、政府と業界関係者によると、科学技術情報通信部はフロンティアAI開発の推進策を協議しており、その選択肢の一つとして政府と民間が共同出資するSPC方式を視野に入れている。
こうした枠組みを別建てで検討している背景には、世界最上位級のAIモデルと競うには、従来以上に大規模な計算資源と資金を集中的に投入する必要があるとの判断がある。
リュ・ジェミョン科学技術情報通信部第2次官は8月、既存AI事業の第2段階評価結果の発表の場で、グローバルのフロンティア企業に匹敵するモデル競争には「新しいアプローチが必要だ」と述べた。その上で、資源を分散して配分するのか、重点的に集中させるのかについて、企業側と議論していると明らかにしていた。
関係業界では、フロンティアAI事業が具体化した場合、既存事業への参加有無にかかわらず、あらためて新規公募が行われるとの見方も出ている。
政府がフロンティアAIの推進でSPC方式を検討するのは、国家R&D支援を従来の拠出中心から、出資・投資型へと広げる政策方針に沿うものでもある。
科学技術情報通信部は2027年度予算案に投資型R&Dを新たに盛り込んだ。拠出方式に比べ、迅速な投資判断と事業化が求められる分野で、官民共同出資のSPCや投資組合などを活用する。希少・難治性疾患向けの遺伝子・細胞治療、化合物半導体、公共技術の研究成果の事業化に優先適用する計画だ。
ペ・ギョンフン副首相兼科学技術情報通信部長官は7月の就任1周年記者懇談会で、フロンティアAIモデルの開発には、NVIDIAの次世代GPU「Vera Rubin」が約1万基必要になるとの見通しを示した。GPUの購入費だけでも約3兆5000億ウォン(約3850億円)に上ると試算している。「政府が特定企業にこれだけの規模の資源を集中投入する方式は現実的に難しい」として、政府による持ち分出資や、SPC設立を伴う投資型R&Dを検討していると述べた。
AI分野では、国家AIコンピューティングセンターですでに官民共同出資方式が導入されている。官側が1160億ウォン(約128億円)、民間側が2840億ウォン(約312億円)を出資し、総額4000億ウォン(約440億円)規模で、官側29%、民間側71%のSPCを設立した。民間参加者にはSamsung SDSコンソーシアムが選ばれ、SPCを軸に追加資金を調達し、総額2兆5000億ウォン(約2750億円)規模のセンターを整備している。
もっとも、フロンティアAIにSPC方式を導入する場合、民間から大規模な資金を実際に呼び込めるかが焦点となる。
国家AIコンピューティングセンターでも、民間事業者の公募が2度にわたって不調に終わった経緯がある。その後、官側の持ち分を51%から30%未満に引き下げ、売渡請求権を廃止するなど事業条件を見直した上で再公募を実施し、Samsung SDSコンソーシアムを民間参加者に選定した。