OpenAIが、300億ドル(約4兆5000億円)超の新規資金調達に向けて投資家と協議していることが分かった。実現すれば企業価値は約1兆4000億ドル(約210兆円)に達する可能性がある。企業向け事業を中心に売上成長が加速しており、IPOをにらむ同社の企業価値評価が一段と切り上がる可能性がある。
Bloombergなどが29日(現地時間)に報じたところによると、OpenAIは少なくとも300億ドル規模の資金調達について、投資家と初期段階の協議を進めている。投資家の関心は強く、今回の調達はIPO前に企業価値を高めるブリッジラウンドとなる見通しだ。協議はなお初期段階にあり、条件が変わる可能性もある。
想定される企業価値は約1兆4000億ドルで、3月の資金調達時に評価された8520億ドル(約130兆円)を約64%上回る。当時の調達額は1220億ドル(約18兆3000億円)だった。今回の資金調達が成立すれば、OpenAIは未上場企業として世界最高水準の企業価値を持つことになる。
企業価値上昇の背景には、直近の売上拡大がある。米Axiosによると、OpenAIの年換算売上高は第3四半期に入ってから70%超増え、700億ドル(約10兆5000億円)に迫った。企業向け売上は同期間に2倍超となり、個人向けでも第3四半期の新規売上が2025年通年の増加分を上回ったという。
直近数カ月では競争環境にも変化が出ている。OpenAIの売上高は第2四半期末時点で67億ドル(約1兆円)となり、第1四半期の57億ドル(約8500億円)からの伸びは18%にとどまっていた。これに対し、競合のAnthropicは同期間に47億3000万ドル(約7100億円)から116億ドル(約1兆7400億円)へと2倍超に拡大した。Anthropicは7月時点で年換算売上高が約650億ドル(約9兆7500億円)に達し、一時はOpenAIを上回ったが、足元ではOpenAIの企業顧客向け売上が急増し、差が縮小したとされる。
もっとも、売上成長がそのまま収益改善を意味するわけではない。OpenAIは支出規模を公式には開示していないが、第2四半期の営業損失は123億ドル(約1兆8500億円)と、第1四半期の93億ドル(約1兆4000億円)から拡大したと伝えられている。OpenAIとAnthropicは最近、それぞれ最新AIモデルのAPI価格を大幅に引き下げており、価格競争も続いている。
IPOを巡る戦略は、OpenAIとAnthropicで対照的だ。OpenAIは6月、米証券取引委員会(SEC)にIPO関連書類を非公開で提出したが、サム・アルトマンCEOは今月、2026年の上場について「望ましくない」と述べ、年内上場の可能性を否定した。AIの安全性に関する課題への対応を優先すべきだとの立場を示している。
アルトマン氏は今月初め、国連安全保障理事会でも高度化するAIシステムがもたらし得るリスクに言及した。こうした発言を踏まえると、OpenAIのIPOは最短でも2027年以降にずれ込む可能性が高い。一方のAnthropicは年内IPOを目指し、企業価値2兆ドル超を目標に掲げている。
OpenAIは上場を急ぐのではなく、大型の追加調達で成長資金を確保しつつ、企業価値をさらに引き上げる構えとみられる。急速な売上拡大が続くなか、300億ドル規模の資金調達が実現するか、そして2027年以降のIPO戦略をどう具体化するかが今後の焦点となる。