Hana Bankは、金融特化の人工知能(AI)モデルを活用した検索サービスの精度を高め、従来は約20%だった検索失敗率を5%未満に改善した。現在はHana1Qアプリへの適用に向けたテストを進めており、AI-UXや知識グラフを組み合わせることで、複雑な金融問い合わせへの対応力を引き上げる方針だ。
この取り組みは、29日にソウル・サムソンドンのCOEXで開かれたDigitalToday主催のカンファレンス「デジタルインサイト2025」で明らかにされた。Hana Bankのイ・ウソプ デジタル戦略事業部長が「金融AX、試行と教訓」をテーマに、AI導入事例と今後の戦略を説明した。
Hana Bankは、ネットワーク分離や個人情報保護など、金融業界特有の規制環境を踏まえ、外部の商用AI活用と、社内ネットワーク上で稼働する独自AIの構築を並行して進めている。独自構築は、社内データを外部に持ち出さずに活用できる半面、インフラ整備や運用・保守の負担が大きいという。
こうした背景から、Hana Financial Groupはオープンウエイトモデルをベースに、金融特化の基盤モデル「HNFM」を開発した。韓国語の金融知識や複雑な金融問い合わせに対する理解性能の向上を狙い、約100GB規模のデータを学習に用いたとしている。
質疑応答で、イ部長は、学習データに個人情報は含めていないと説明した。使用したのは、法令、内規、約款、商品・サービス関連データなどだという。
Hana Bankは、このHNFMを適用した検索サービスの検証も進めている。同社によると、従来のキーワードベース検索では、適切な回答にたどり着けないケースが一部にあり、検索失敗率は全体で約20%に達していた。これに対し、独自AIを活用した検索サービスでは5%未満まで低下した。現時点ではHana1Qアプリに全面導入した段階ではなく、適用に向けたテストを進めている。
同社は、金融業務を単純なRAGだけで処理するには限界があるともみている。例えば「別の銀行に送金する」といった曖昧な質問は、他行振込、海外送金、自動振替など複数の業務として解釈され得るためだ。融資のように複雑な業務では、法令、内規、約款など複数の判断基準をあわせて考慮する必要もある。
このため、不足する文脈情報を追加質問で補完する「AI-UX」と、法令や内規、約款など金融知識の優先順位や相互関係を構造化する知識グラフを導入し、AI活用の高度化を進める方針を示した。
Hana Bankは、金融業界でAI活用が広がっても、重要なのは信頼と統制だと位置付ける。ネットワーク分離や個人情報保護、金融分野のAIガイドラインといった規制を踏まえ、外部AIの活用と社内ネットワークでの独自構築を併用する形で取り組みを進めている。
イ部長は「金融業界でAI活用が拡大しても、核心は信頼と統制にある」と述べたうえで、「金融規制を前向きに捉え、その環境の中で何をどう進めるかを考えていく」と語った。