Morgan Stanleyは、ステーブルコインや資産トークン化、分散型金融(DeFi)の活用を検証する「デジタル資産ラボ」を新設した。銀行の基幹システムから切り離した独立環境で新技術を試し、規制面・運用面のリスクを抑えながら、銀行業務への適用可能性を探る。
ブロックチェーンメディアのCoinPostは30日、これを報じた。新ラボは、ブロックチェーン技術を銀行業務にどう取り込めるかを見極めるために設けたという。
ラボは、既存の基幹システムに影響を与えずに新技術を検証できるよう、独立環境として整備した。Morgan Stanleyはこれまでも複数の技術検証拠点を運営しており、デジタル資産ラボはその枠組みに加わる専用拠点となる。
新設は、Megan Brewer氏がインタビューで明らかにした。既存の検証拠点では、電子取引やサイバーセキュリティ、機械学習を中心に取り組んできた。専任チームが社内の専門部署と連携し、本番環境に接続する前に新技術を試験する体制で、年間最大270件のプロジェクトを扱っているという。
今回のラボでは、ステーブルコインと資産トークン化に加え、DeFi関連の仕組みも検証対象とする。なかでもDeFiの「ボールト」を対象に含めた点が特徴だ。
ボールトは、ブロックチェーン上のソフトウェアが、あらかじめ定めた戦略に基づいて資産を自動運用する仕組みを指す。投資家がステーブルコインなどを預けると、持ち分を示すトークンを受け取る。
Amy Oldenburg氏は新ラボについて、「安全でコンプライアンスを順守した独立環境で、デジタル資産分野の新たな領域を検証・調査できる」と述べた。規制面・運用面のリスクを抑えながら、関連技術の適用余地を見極める考えを示した格好だ。
一方で、Morgan StanleyはDeFiのボールトについて、その可能性と限界の双方に言及している。Oldenburg氏は「ボールトが将来、金融の一部になる可能性は十分にある」とする一方、技術はなお発展途上にあるとして、「プラットフォーム全体をリスクにさらすことはできない」と話した。
こうした姿勢は、実導入に先立って検証とリスク管理を重視する同社の方針を示すものといえる。
今回の動きは、Morgan Stanleyの暗号資産事業拡大の流れとも重なる。同社は今年、オンライン証券サービスのE*TRADEで暗号資産取引を始めた。
デジタル資産ラボの新設は、取引サービスの開始に続き、デジタル資産関連の技術や運用モデルの検討範囲を広げる動きと位置付けられる。検証対象が暗号資産の売買にとどまらず、ステーブルコインや資産トークン化、DeFiインフラにまで広がったことで、今後は独立した検証環境で試した技術を銀行業務にどこまで組み込むのか、どの領域を優先して事業化するのかが焦点となる。