【米ハワイ州マウイ】Qualcommは、DRAMやストレージの価格上昇を受け、Snapdragon搭載PCのコスト増を抑える対応を進めている。AI PCでエージェント型AIを動かすには一定以上のメモリ容量とストレージが必要で、OEMの負担が重くなっているためだ。DRAM容量や調達先の選択肢を広げるほか、ソフトウェアの最適化を通じてOEMを支援する。
Qualcommの製品管理担当副社長を務めるニティン・クマール氏は23日(現地時間)、米ハワイ州マウイで開催された「Snapdragon Summit 2026」のCompute分野向けラウンドテーブルで、「現在の業界環境、特にDRAMとストレージの価格動向は非常に厳しい」と述べた。さらに、「特定のエージェント型AI体験を実現するには、一定のRAMとストレージが必要になるのも事実だ」と語った。
ユーザーに代わって複数段階の作業をこなすエージェント型AIをPC上で動かすには、搭載DRAMを大きく削減しにくい。このため、メモリ価格の上昇がAI PCの製造コストや店頭価格に波及しやすい構図になっているという。
クマール氏は、この状況が短期で収束しない可能性があるとの見方も示した。メモリ価格の高止まりがいつまで続くかについては、「予測は非常に難しい。数四半期続くかもしれないし、それ以上かもしれない」と説明。「市場環境は急速に変化しており、業界全体に複数の変数が作用している。その一部はQualcommがコントロールできない領域だ」と述べた。
その上で、同社としてはOEMがこの局面を乗り切れるよう、供給面とソフト面の両方から支援する考えだ。まず供給網の面では、OEMが選べるDRAMの選択肢を広げる。クマール氏は「OEMやDRAMパートナーと緊密に連携し、容量や供給元が異なるDRAMをSnapdragon Xシリーズでサポートできるようにしている」と述べた。特定の容量やベンダーに縛られず、その時々の需給や価格環境に応じて調達しやすくする狙いがある。
加えて、メモリ制約が強まる局面ではソフトウェア最適化が有効だという。QualcommはMicrosoftやOEMと連携し、ソフトウェアスタックの最適化を進めている。搭載するDRAM容量が異なっても効率よく動作させ、価格帯ごとの製品でもAI PCとしての体験を維持するのが目的だ。一部パートナーによる8GBモデルの投入も、こうした対応の一環という。クマール氏は「8GBモデルの投入は、パートナーを支援するための措置だ。状況がどれだけ続いても、パートナーとともに対応していく」と話した。
◆Snapdragon Cまでラインアップ拡充、コスト圧力下で価格帯を広げる
Qualcommは、価格帯ごとの製品ラインアップ拡充も進めてきた。プレミアム向けの「Snapdragon X Elite」でPC市場に参入した後、「X Plus」「Snapdragon X」を順次追加。2026年は第2世代として「X2 Elite」「X2 Elite Extreme」「X2 Plus」に加え、エントリーPC向けの「Snapdragon C」シリーズも投入した。
クマール氏は「プレミアムから始めたが、エントリークラス向けのSnapdragon Cまでフルラインアップを整えた」と説明した。性能、バッテリー駆動時間、AI体験をできるだけ多くのユーザーに届けることがSnapdragon Xの目標だという。メモリコストの負担が高まるなか、OEMが価格帯に応じてプラットフォームを選べる余地も広がった形だ。
Snapdragon C搭載機は近く市場投入される見通しだ。クマール氏によると、Acerに続き、今月初めのIFAでHPとLenovoがSnapdragon Cベースの製品を発表した。「製品は今後数週間以内、あるいは次の四半期中に出てくるだろう」としている。Acer、HP、Lenovoの製品が出そろえば、Snapdragon搭載PCの価格帯はエントリークラスまで広がることになる。
またクマール氏は、「韓国は非常に重要な市場だ」とも述べた。その上で、「メーカーがフラッグシップ機を韓国で発売できるよう、優先順位を置いて支援していく」と語った。