写真=Qualcommの上級副社長で、テクノロジー企画・エッジソリューション・データセンター部門を統括するドゥルガ・マラディ氏(撮影:Daegeon Seok)

Qualcommは、エージェント型AI機器の普及が6G接続需要を押し上げるとの見方を示した。端末内のAI処理とクラウド側の処理が連携することで、スマートフォンとは異なる通信要件が生まれるためだ。同社は2029年の6G商用化方針を維持しており、2028年のロサンゼルス五輪での技術デモも視野に準備を進めている。

Qualcommの上級副社長で、テクノロジー企画・エッジソリューション・データセンター部門を統括するドゥルガ・マラディ氏は22日(現地時間)、米ハワイ州マウイ島で開かれた「Snapdragon Summit 2026」のメディア向けラウンドテーブルで、「エージェント型AI機器では、端末側で動く処理とデータセンター側で動く処理の間で推論処理が絶えず行き来する。求められる接続性は大きく変わる」と述べた。エージェント型AI機器は、端末内のエージェントがユーザーに代わって作業を処理する機器を指す。

同社によると、端末とクラウドをまたいで処理する需要は、新たに市場に参入した端末メーカーでも確認されている。マラディ氏はAlibabaを例に挙げ、「従来はクラウド事業者だった企業が、いまやOEMにもなっている」と説明した。こうした新規OEMは、最高伝送速度よりも、端末で推論処理を行いながらクラウドとの常時接続を維持できる環境を重視しているという。

現時点でも5G対応のエージェント型AI機器は投入されているが、マラディ氏は6Gとの違いについて「機能面にある」と説明した。「エージェント型AI機器が高度化するほど、求められる接続性はスマートフォンや固定無線アクセスとは大きく異なってくる」とし、「ある段階で、新たなカテゴリーのエージェント型AI機器が6Gの機能を必要とし始める」と述べた。

今回のサミットで公開したノートPC、スマートフォン、スマートグラスなどのエージェント型AI機器については、約3年後には6G対応機器へ発展するとの見通しも示した。マラディ氏は「2019年に5Gが立ち上がった際は、非常に高い伝送速度に注目が集まった。一方、6Gでは、どのようなユースケースが実現できるかに焦点が移っている」と語った。

Qualcommは6Gを、「接続性」「広域センシング」「ネットワーク向け高性能コンピューティング」の3軸で準備している。これは、今年初めのモバイル・ワールド・コングレス(MWC)で「6Gの基盤軸」として示した枠組みだ。同社は高性能コンピューティングについて、構想提示の段階から商用製品の検討段階へ進んだと強調した。

また、昨年参入したデータセンター事業で手掛けるCPUやAI加速器の一部を、通信ネットワーク向けにも展開する方針だという。広域センシングについては、米サンディエゴのQualcommプロトタイプ・テストベッドと海外の主要パートナー拠点で試験を進めている。センシングデータを基にネットワークのワールドモデルを構築し、自動化に活用する方向だと説明した。

マラディ氏は、MWCでの発表以降、2029年の商用化に向けた参画に合意したパートナー企業も確保したと明らかにした。MWC時点でのQualcommの6G協業発表には、約60社のパートナーが参加していたという。韓国の大手通信3社もこの発表に加わっていたとし、「3社に共通する認識は、ネットワークにAIをこれまで以上に投資すべきだという点だ」と述べた。一方、韓国での具体的な協業内容については、この日は公表しなかった。

同氏は「7月に韓国を訪れ、現地の主要パートナーと協議した。追加の内容は近く知らせる」とも語った。

Qualcommは、2029年の商用化から逆算して開発日程を組んでいる。マラディ氏は「2029年の6G商用化はQualcommの揺るぎないコミットメントであり、計画通り進んでいる」と述べた。2027年に初期の研究開発とプロトタイプ試験を行い、2028年にプレコマーシャル機器と各種試験を経て、2029年に商用化する計画だ。

2028年のロサンゼルス五輪では、商用化に先立つ6G技術デモをパートナーと準備している。マラディ氏は「五輪でのデモは商用化前段階の技術実証になる」とした上で、「追加の6Gパートナーに関する情報はMWC 2027で公開する」と述べた。

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