Morgan StanleyとOliver Wymanは、実物資産のトークン化市場が2030年に2.3兆ドル規模に拡大すると予測した。写真=Shutterstock

Morgan StanleyとOliver Wymanは、実物資産のトークン化市場が2030年に約2兆3000億ドルへ拡大するとの見通しを示した。市場成長の中心は、投資商品の単純なブロックチェーン移行ではなく、金融機関における担保移転や資金管理の効率化になるとみている。

The Defiantが24日(現地時間)に報じたところによると、両社は共同でまとめた2026年版の資産・資産運用レポート「Breaking from the Pack: Outsize Growth Competition」で、こうした予測を示した。Oliver Wymanのレポートでも、実物資産のトークン化市場は現在の約400億ドルから2030年に2兆3000億ドルへ拡大すると見込んでいる。

基本シナリオで最大の比重を占めるのは担保移転分野で、市場規模は約1兆7000億ドルを見込む。これに準備金・財務管理分野の4000億ドルが続き、両分野で全体予測の大半を占める構図だ。

両社は、現金や米国債、マネーマーケットファンドが複数の保管機関や決済システムに分散しているため、担保の移動や差し替えに数時間から数日かかる場合があると分析した。トークン化資産を活用すれば、適格資産を複数の取引先や取引場所の間でほぼリアルタイムに移転し、担保として設定できるようになる。これにより、事前の資金手当てや過大な流動性バッファの確保を減らせるとしている。

一方、その他の分野は相対的に規模が小さい。グローバル証券流通は約2000億ドル、運用効率化は800億ドル、非公開市場におけるアクセス性向上と移転性改善は100億ドルと見積もった。いずれも2030年時点の基本シナリオに基づく推計だ。

全体の2兆3000億ドルのうち、約1兆3000億ドルは資産運用会社が組み入れ可能な運用資産に分類した。初期の需要は、現金管理や準備金、担保として使われるマネーマーケットファンドや米国債などに集中すると予想している。

トークン化された投資商品を実際に担保として活用する事例も出始めている。The Defiantによると、Securitizeのトークン化信用ファンド「HINC」のトークンはLoopscaleで担保として利用されている。適格投資家は保有持ち分を償還せず、その持ち分を担保にステーブルコイン「USDG」を借り入れられるという。

もっとも、両社は短期的にみれば、コスト削減がトークン化拡大の主因にはならないとの見方も示した。トークン化ファンドと類似する既存の金融商品を比較したところ、トークン化商品の手数料はやや高い傾向が確認され、ブロックチェーン基盤の商品を組成・管理する追加コストが影響している可能性があると説明している。

このためレポートは、トークン化の普及には、より迅速な決済、担保移転の円滑化、投資家アクセスの拡大といった実利が欠かせないと分析した。

非公開市場については、トークン化だけで課題が一挙に解消されるわけではないとも指摘した。トークン化は所有権の記録や資産移転の効率化には寄与するが、買い手需要や信頼できる価格評価、流通市場の流動性を自動的に生み出すものではないとしている。

2030年に2兆3000億ドルという数字は確定的な市場規模ではなく、あくまで基本シナリオに基づく見通しだ。両社は、限定的な導入にとどまる場合は1兆1000億ドル、広範な導入が進んだ場合は5兆5000億ドルまで市場が拡大し得ると試算した。

基本シナリオでは、規制環境の整備に加え、ブロックチェーンネットワークを相互接続するインフラが計画通りに構築され、業界の投資が継続することを前提としている。

足元のトークン化市場は複数のネットワークに分散しており、流通市場の流動性もなお限定的だ。レポートは、担保関連市場の拡大には、資産と現金が複数の取引場所の間を安定的に移動できる環境が必要であり、それを支える機関投資家向けの決済・保管インフラの整備が不可欠だと結論づけた。

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