Huaweiは、中国で三つ折りスマートフォン「Mate XT 2」を発表した。独自の「タウ・スケーリング法則」を適用した新型モバイルチップ「Kirin 9050 Pro」を搭載し、最新OS「HarmonyOS 7」を初採用したのが特徴だ。
香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストなど海外メディアによると、Mate XT 2の価格は1万9999元(約40万円)から。10日に発売する。
HuaweiコンシューマーBG会長のリチャード・ユー・チェンドン氏は、中国・広州で開いた発表会で、Kirin 9050 Proを「史上最も強力なKirinチップ」と紹介した。Huaweiによれば、Mate XT 2の総合性能は昨年発売した前世代機に比べ42%向上したという。
Kirinの新型チップがHuaweiのフラッグシップスマートフォン発表会で披露されるのは、2020年のMate 40シリーズ以来となる。
Kirin 9050 Proは、半導体の信号遅延を抑えて性能を引き上げるタウ・スケーリング法則に基づいて設計した。開発過程で生まれた「ロジックフォールディング」技術では、チップ内部の論理回路を積層配置して垂直接続し、信号経路を短縮することで、より小さな面積に多くのトランジスタを集積できるとしている。
Huaweiが4日に公開した論文によると、Kirin 9050 Proは前世代比で単位面積当たりのトランジスタ密度が55%向上した。同一性能条件では、主要処理における消費電力を最大66%削減したとしている。内訳は、ニューラル・プロセッシング・ユニット(NPU)が66%、グラフィックス・プロセッシング・ユニット(GPU)が58%、中央演算処理装置(CPU)の高性能コアが41%の削減としている。
この論文は中国Xivで公開されており、査読は受けていない。
Huaweiは、タウ・スケーリング法則を活用すれば、米国主導の輸出規制対象である極端紫外線(EUV)露光装置に依存せずとも、2031年までに最先端の1.4ナノメートル工程と同等水準のトランジスタ集積度を実現できるとしている。Huawei科学者委員会主席兼半導体事業部門社長のホー・ティンボ氏は、5月にこの技術を公開した際、過去6年間でこれを用いて381種類のチップを設計し、量産してきたと明らかにした。
端末は10.2インチ画面の両側を内側に折り込むインフォールディング構造を採用した。従来のMate XTシリーズが画面の一部を外側に露出させるアウトフォールディング構造だったのに対し、今回は内側に収納することで、外部衝撃から画面を保護しやすくした。
新たにプライバシーOLEDディスプレイも採用した。側面からは画面がほぼ黒く見えるよう視野角を狭め、正面からのみ表示を確認しやすくする方式という。
この機能は、16GBメモリと1TBストレージを備える最上位モデルにのみ設定する。追加費用は1000元(約2万円)。このほか、IP59の防水・防じん性能やトリプル背面カメラを備える。グローバル展開の時期は明らかにしていない。
Mate XT 2ではHarmonyOS 7も初採用した。同OSは6月、AIコーディングエージェントを含むベータ版として開発者向けに公開され、7日から既存のHuawei製スマートフォンへの配信も始まった。
折りたたみスマートフォン市場では競争が一段と激しくなっている。Xiaomiは同日、高価格帯の折りたたみスマートフォン「18 Fold」を発表し、自社設計の「Xring O3」プロセッサを搭載した。Appleも9日に初の折りたたみiPhoneを発表するとの見方が出ている。
市場調査会社Counterpoint Researchは、2025年の世界の折りたたみスマートフォン出荷台数が前年比18%増だったとしたうえで、成長率は2026年に24%、2027年には37%に高まると予測している。
一方、Huaweiでは半導体開発の拡大が収益面の重荷にもなっている。2026年上半期の研究開発費は前年同期比25%増の1214億元(約2兆4300億円)で、純利益は36%減の238億元(約4770億円)だった。
売上高は、スマートフォン出荷の回復とAIプロセッサ需要の拡大を追い風に、9.6%増の4678億元(約9兆3600億円)となった。IDCによると、Huaweiは2026年第2四半期の中国スマートフォン市場でシェア22.6%を確保して首位に立ち、出荷台数は前年同期比19.4%増だった。