OpenAIの韓国総括代表、キム・ギョンフン氏は9月8日、Samsung SDSがソウルのCOEXコンベンションセンターで開いたエンタープライズAXカンファレンス「REAL Summit 2026」で基調講演し、企業のAI活用は導入自体ではなく、業務の再設計と業務システムとの連携の深さが成否を左右すると強調した。
キム氏は「AIを導入しただけでは企業の競争力は変わらない。電力が工場に導入された当初も、既存の機械をそのまま動かした工場より、電力に合わせて生産ラインや作業方式を抜本的に見直した工場の方が、生産性を大きく引き上げた。AIも同じで、業務そのものを変える形で活用する必要がある」と述べた。
その上で、AIを業務に組み込める企業とそうでない企業の差は、今後さらに広がるとの見方を示した。現場業務にどこまでAIを深く組み込めるかによって、生産性や仕事の進め方に明確な違いが生まれると指摘。重要なのは、AIを実際の業務システムと連携させることだとした。
AIが社内データや各種業務システムにアクセスできれば、顧客情報の確認や文書作成、資料分析といった定型的な作業にとどまらず、より複雑な業務にも対応できるという。
あわせて、必要なデータへのアクセス権限を適切に設計するなど、セキュリティ体制の整備も不可欠だと述べた。
また、AIを単なる補助ツールとして使うのではなく、実務を担う存在として活用することもAXの重要な要素だと説明した。
具体例として、資料を調べ、システムを確認しながら成果物を作成し、問題が発生した場合は自ら原因を探って再試行する「エージェント」を挙げた。一方で、重要な判断が必要な場面では、人の判断を介在させるガードレールを設けるべきだとした。
AI活用では、成果をどう測るかも重要だという。キム氏は、見るべきなのは利用量の多さではなく、AIによってどれだけコストを削減し、売上高や生産性をどこまで押し上げられたかだと説明。モデル性能や利用量の比較だけでは、事業上の価値は判断しにくいと述べた。